この記事は「ゴルゴ横山と行く爆釣ポイント開拓の旅 爆釣ドリームツアー」コーナーの記事です。
⬛はじめに
前回掲載した記事「ボコボコボイル注意報発令!スズキはどのくらいの浅場まで入ってくるのか?千葉県「小櫃川」でボコボコボイル!スズキ、ウナギ、スッポンの3種混合試」では、記事の最後に下記のような告知を書かせていただいた。
・・・のだが、その後少々面白いネタが出来たので、上記の話は後回しにして、今回はそのネタについて書かせて頂こうと思う。実は、最近そういうケースが多くなっていて、後回しにしているうちに、あまりに季節がズレてしまい、結局ご紹介しないままに終わってしまっている取材も増えている。あぁぁ、いつになったらこのホームページは黒字化出来るのだろうか・・・。
⬛今回の開拓スクープエリアはここだ!!
今回、開拓にチャレンジしたのは、茨城県「北浦」水系だ。
(※出典:Googe Map)
最初、このエリアに私が目を付けた理由は「大雨後の増水対策」だった。今年は、例年になく夏の時期に雨が多く、例年であればリバーシーバス真っ盛りとなる真夏の時期に、関東地方は何度も豪雨に見舞われ、私が目を付けていたシャローポイントは、ことごとく大増水となり、私が今夏狙っていたポイントは、ベイトが綺麗さっぱり押し流されてしまい、ことごとく壊滅的な状況となり、定番のパターンが使えない事が多かったからだ。
そういう時の必殺パターンはいくつかあるのだが、その中でもかなりガチンコパターンとなるのが「湖沼のインレット(流れ込み)周辺狙い」がある。例えば、茨城県「涸沼」など良い例だ。まずは、下の画像をご覧アレ↓
(※画像出典:Google Map)
「涸沼」では例年5月くらいからボラの稚魚である「ハク」が多くなり、いわゆるハクパターンのボイルが増え始め、6-7月の梅雨の増水期には上流から押し流されてきたベイトが涸沼の中にウジャウジャ溜まり、それを狙うスズキの大群が海から押し寄せ、大フィーバーが起こる。このパターンは、荒れた日の直後ほど凄い事になる。
今年の夏は、私自身もそのパターンの恩恵にあずかり、下記の記事でご紹介したように、ランカークラスを連続ゲットすることも出来た。これらの取材で狙ったポイントは、「純粋な涸沼ポイント」ではないが、こんなにボコボコボイルが多発するには、そういう理由も絡んでいるのだ。
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しかし、この「涸沼のハクパターン」は今や情報も多く出回り、関東のシーバスフィッシングの定番パターンの一つとも言える状況になってきた為、私としてはイマイチ面白みに欠ける気がしてきていた事もあり、同じようなパターンが期待できる他のポイントは無いかと考えていたのだが、皆さん思いつくだろうか?
「湖沼に川が流れ込んでいて、下流側が海に繋がっているようなポイント」だ。もう、お気づきだろう。「霞ヶ浦・北浦」だ。考えてみたら、大きな意味では、ほぼ条件は一緒だ。
そんな事もあり「霞ヶ浦・北浦」でも、この「涸沼」パターンと同じ事が期待出来るのではないかと考え、雨続きの夏の時期の引き出しを増やす意味も含めて、今年はかなり本気で「霞ヶ浦・北浦」エリアを開拓する事にした。
実は、ここ数年霞ヶ浦・北浦では意外とスズキがよく釣れるという事が知られてきており、密かなブームとなってきている。私自身も、このエリアには以前から目をつけていて、5年ほど前に一度「霞ヶ浦」についてシーバスの記事を書かせていただいた。
★茨城県「霞ヶ浦;第1弾」~日本第2位の面積を誇る巨大湖沼。ここでスズキは釣れるのか!?~
私自身は、上記の記事を書いた2017年から約5年間、毎年5-8月のいわゆる「ハクパターン」の時期に、このエリアでスズキを追いかけてきており、未だランカークラスは取れていないものの、それなりに実績を積み、ある程度これらのエリアでスズキが釣れるパターンは掴めるようになってきていた。
そんな事もあり、そろそろ記事にしようかとも思っていたのだが、大したサイズが釣れていなかったため、いつものごとく後回しにしているうちに、このエリアでのシーバス情報がやたら多くなって来て、私の掴んだ情報もイマイチ面白みに欠ける気がしてきた為、今年の夏はちょっと変わった視点で、このエリアを再度開拓してみようと思い立った。
どんな視点かというと「このエリアの ” 限界ポイントは何処なのか? ” 」だ。
「限界ポイント」とは簡単に言うと「スズキが遡上できる限界のポイント」だ。ちなみに「限界ポイント」という単語は私の造語で、Googleなんかで検索しても出てこないのでご注意を。
例えば、多摩川なんかでは「二ケ領上川原堰」辺りだろうか。昔は、多摩川の限界ポイント「調布取水堰(いわゆる「丸子堰」)」と言われていたが、近年は「二ヶ領宿河原堰」と言われる事が多いのだが(※「二ケ領上川原堰」と名前が似ているのでお間違え無きよう)、実はシーバスはこの堰も超えている事を私自身確認しており、私にとっての多摩川の限界ポイントは「二ヶ領宿上河原堰」となっている。
他にも、多くの河川では「堰」が限界ポイントとなっており、このホームページでも、それらしきポイントをいくつか、こっそりご紹介してきた。
⬛水郷地帯の「霞ヶ浦・北浦」エリア
先程、大増水時の狙い目の1つに「湖沼に川が流れ込んでいて、下流側が海に繋がっているようなポイント」があると書いたが、こういう場所の「限界ポイント」は「湖沼に流れ込んでいる川」の中にある可能性が高い。
しかし、この「霞ヶ浦・北浦」エリアは「水郷地帯」とも言われているだけに、流れ込んでいる川の数がめちゃくちゃ多く、しかもこの辺りは稲作の広大な田園地帯が広がっているため、明確な堰が無いまま、ダラダラと細い用水路が網の目の様に伸びており、どこから手を付けたらいいのか途方に暮れてしまう。
私の様な単独でポイント開拓をしている人間にとっては、この広大な「霞ヶ浦、北浦」エリアを1人で闇雲に探索していたら人生が何年あっても足りない話になるので、少なくとも「霞ヶ浦」と「北浦」どちらがよりシーバスゲットの確率が高いかを推定して、開拓の優先順位をつける必要がある。その点については、後で詳しく解説しよう。
《「霞ヶ浦、北浦」への流入河川一覧》(※画像出典:「川の名前を調べる地図」)
⬛「霞ヶ浦・北浦」にスズキは入ってくるのか?ポイントは「常陸川水門」にあり!!
また先程、大増水時の狙い目となる条件として「湖沼に川が流れ込んでいて、下流側が海に繋がっているようなポイント」と書いたが、この文章の後半部分の「下流側が海に繋がっているようなポイント」にも注意が必要だ。
「霞ヶ浦・北浦」の下流側は「常陸利根川」と繋がっており、その「常陸利根川」は「利根川」に合流して、その「利根川」が海に流れ込んでいる。つまり、スズキは「利根川→常陸利根川」を通らないと「霞ヶ浦・北浦」まで遡上出来ないのだ。
しかし「利根川」と「常陸利根川」の合流部には「常陸川水門」と呼ばれる水門が存在し、これが閉まっている限り、スズキは「霞ヶ浦・北浦」に遡上出来ない。問題は ” どの程度の頻度で開くか ” だ。これについては、実は簡単に調べる事が出来て、結構な頻度で水門が開いている事が確認出来る。
(※画像出典:霞ヶ浦河川事務所ホーム)
⬛「常陸川水門」の開放スケジュール
「常陸川水門」の開放スケジュールは「霞ヶ浦河川事務所ホーム」で公開されており、利根川河口堰の開閉状況と異なり、素人が見ても簡単に開いているか閉じているかが分かるように「開放日時」と「閉鎖日時」が一覧表になっている。
※「利根川河口堰」の開閉状況を知る方法については、下記の記事をご覧アレ。
★「利根川河口堰」の開閉状況をカンタンに知る方法
ここで、下に現時点での最新情報を掲載しておこう。ちなみに、下記は過去2か月分のみを記載しているが「霞ヶ浦河川事務所ホーム」に行くと、もっと長い過去の分のデータも公開されている。
これらを見ると、かなり昔から「常陸川水門」は結構な頻度で開放されてきたことが分かるので、ここ数年どころか、実はかなり昔から「霞ヶ浦・北浦」には多くのスズキが遡上してきていた可能性が高い。
下に昭和46年からの水門開放回数の年次データをグラフ化しているが、これを見る限り少なくとも過去50年位の間は、結構な頻度で水門は開放されてきている。
「霞ヶ浦・北浦」でのシーバシングが話題になってきたのは、ここ数年の事だが、実は結構昔からこのエリアの地元の方々は「霞ヶ浦・北浦」でスズキを釣っていたのだろう。もっと早くから通うべきだった。あぁ、悔しい・・・
(※画像出典:霞ヶ浦河川事務所ホーム)
★下のグラフでは「昭和46年」以降の常陸川水門の開放回数が記載されているが、これを見ると過去50年近く、常陸川水門は今とそう大差無いくらい、開放されてきていたことが分かる。
(※画像出典:令和3年8月31日までの常陸川水門の操作回数[PDF:79KB])
⬛「霞ヶ浦」と「北浦」どっちがシーバスはよく釣れるのか?
私のような単独釣行が中心の人間が、これだけ広いエリアを開拓するとなると、いっぺんに全部は無理なので、少なくとも「霞ヶ浦に行くか、北浦に行くか」位は決めないと、どうしようもなくなる。では、どちらを優先すべきだろうか?
ここで、私が注目したのは「塩水くさび」。海水の比重は淡水よりも重い為、河川に海水が浸入する時、海水は川の水の下を通って河川内に侵入し、川底に近い層ほど、海水に近い塩分濃度になる。ちなみに、大雨の増水なんかで、河川の流入量が大きくなった時は、海水の層の厚さは狭くなる。
ちなみに、日本では唯一、福岡県北九州市にある「北九州市水環境館」の「河川観察窓」で、この「塩水くさび」を直に自分の目で観察する事ができる。ここでは、スズキは「塩水くさびの中にいる魚」の常連とのことだ。
(※画像出典:「北九州市水環境館HP」)
(※画像出典:「北九州市水環境館HP」)
(※画像出典:「北九州市水環境館HP」)
上の画像にも映っているとおり、海から遡上したり、川を頻繁に出入りしたりするスズキの多くは、川に入り込む「塩水くさび」の中を通って移動している事が多いと考えられている。そして、徐々に塩分濃度の小さい水に慣れるに従って、完全に真水の淡水域まで遡上出来るようになる。
ちなみに、先ほどの「北九州市水環境館HP」に掲載されている画像の中に、大雨の後の ” ド茶濁り ” の直後の「塩水くさび」の写真があるが、そんな時でも「塩水くさび」はくっきりと存在している。
ただ、ここで私が注目したのは、その「色」。上の部分は茶色で、下の部分は真っ黒だ。まぁ、上層が「茶」色なのは分かるが、下の海水層は何故「黒」色なのだろう。単に大雨が降っただけなら、川の水が濁っていても、海水は別に底荒れして濁るなどという事は無いはずだ。
実は、下の写真に写っている、下層の「黒」色部分は海の水で、確かに比較的透明な水なのだが、上に ” ド茶濁り ” の泥水が覆いかぶさっているため、太陽光が遮られて暗くなり、結果として黒く見えているのだ。
つまり、 ” ド茶濁り ” の日は、デーゲームの時間帯でも、川の中はナイトゲームと同じ暗さになっているということだ。一般に、スズキは「夜」は陸っぱりでも釣りやすいと言われる。
一方、大雨後の濁りが入った時は、デーゲームでもよく釣れると言われる。これは何故だろう?上記のように ” ド茶濁り ” の日は、下層の塩水くさびの中は「真っ暗闇」となる(塩水くさびまで行かなくても、少し下層に行くだけでも暗くなる)ので、デーゲームの時間帯でも、スズキにとっては「夜」になるから、昼間でも夜のようによく釣れるようになるのである。
下に掲載している「 ” ド茶濁り ” の日の塩水くさび」の画像は、何も言われなければ夜の写真だと思うだろう。それくらい、 ” ド茶濁り ” の日は、真昼間でも水中は暗くなっているのである。
・・・と「塩水くさび」の話が長くなってしまったが「霞ヶ浦・北浦」の話に戻ろう。
先ほどの「塩水くさび」の話では「塩水くさび」は「河川水(淡水)の下」を通って河川内に入り込んでくると書いたが、その理由は「海水は比重が重いから」だ。つまり、海水は「より深い方に落っこちやすい(流れ込みやすい)」ということになる。
海から遡上してくるスズキが「塩水くさび」の中を通ってくる確率が高いのなら、スズキの侵入経路を予測するには「より深い筋はどこにあるか」を調べれば良いことになる。
そこで「国土地理院HP」に公開されている、この辺りの水底地形図を見てみると、下の画像のようになっている。これを見る限り「霞ヶ浦」よりも「北浦」の方が、より深い筋が下流から伸びてきており「塩水くさび」が入り込みやすい地形になっており、結果としてスズキの遡上確率も高くなると考えられる。
以上より、私は「『霞ヶ浦』よりも『北浦』の方が、スズキはよく釣れる」と考えている。実際、私自身の実釣経験でもそうだし、地元の釣り師の方に聞いても、大半の人はそう言っているので、未だそれほど多いデータでは無いが、経験則とも矛盾しない結論と言えよう。
(※「国土地理院HP」より)
⬛「北浦」の限界ポイントシーバスGET!!
・・・ということで、今年の8月末に私は、北浦方面にポイント開拓に訪れ「限界ポイント」と思われる場所で、見事シーバスの捕獲に成功したので、その時の実釣動画からの抜粋を、ひと足お先に掲載しておくことにしよう。
⬛今回の開拓ツアー概要 ~今回シーバス(+アメリカナマズ)が釣れたポイントはズバリここだ!!~