今回の記事は、会員専用コーナー用に書いた結構渾身の内容なのだが、1人でも多くの方のご意見を伺いたい内容でもあるので、急遽無料のオープンコーナーで掲載することにした。
この記事を読んでご意見等のある方は、下のコメント欄に書き込んで頂いてもでもいいが、もうすぐ大阪のフィッシングショーもあるので、関西エリアの方は、フィッシングショーの当日に、直接私に言ってくれても構わない。当日は多分、いろいろなブースをブラブラ見て回っていると思うが、ゼナック社のブースに居ることが多いと思う。
見かけた方は、ご遠慮なくお声がけを!!
まだまだ寒い日が続いているが、そろそろ春のバチ抜けが始まる時期でもあり、バチ抜けの動向が気になる方も多いのではないだろうか。
先日、当ホームページの「The Truth of Seabas ザ・トゥルース・オブ・シーバス」コーナーに、
The Truth of Seabas ザ・トゥルース・オブ・シーバス
1月でも既に、人知れずバチ抜けは起こっており、バチ抜けの「超初期」における攻略方法は、一般的に言われている方法とは異なることを解説した。
TRUTH21「大スクープ!?見えないバチ抜け ~バチ抜け超初期の攻略方法~」
上記のバチ抜け初期に釣れるスズキは、産卵後の体力回復期にある「戻りスズキ」と言われる個体だ。しかし、下記の記事でも解説している通り、スズキの産卵期には大きな幅・個体差があることが確認されている。従って、今は各地でスズキの産卵の前と後の個体が入り乱れる時期であり、スズキの居場所を特定するのが、極めて難しい時期でもある。
・・・ということで、今回は「12-2月の真冬のスズキの群れの追いかけ方(産卵~バチ抜け期)」と題して、この時期のスズキの居場所の探し方について、1つのヒントをご提供したいと思う。
■産卵期のスズキの追いかけ方
まず、スズキの産卵期の行動・居場所については、下記の記事を復習して頂ければと思う。都道府県によって、スズキの産卵水温や季節には、ものすごく大きな幅があることが分かっている。
各地におけるスズキの産卵に関する情報のまとめ(産卵期、産卵場所、産卵水温)
確かに、スズキの産卵条件には、エリアによってかなり幅はあるのだが、少なくとも東京湾については、私自身はこの時期のスズキの行動について、ある仮説を持っている。それについては、下記の記事をご参照頂きたい。
11-12月の爆釣ポイント発見のコツ:スズキの産卵回遊と水温の関係~●度の水温帯を追い回せ!!~
■今シーズンはどうだったのか?
上記の記事では、産卵期のスズキは「17度の水温帯」にくっつく様にして、東京湾を南下してゆくという仮説を解説させて頂いたが、その仮説が正しいとすると、今シーズンのスズキの群れは、どう動いたと推測できるだろうか?
以下、皆さんの実際の釣果実績を頭に置きつつ、この仮説が正しいかどうか、考えてみて欲しい。但し、以下の私の文章は、全て「船」ではなく「陸っぱり」で話なのでご注意を。
ちなみに、下で使用している東京湾の水温分布画像は全て、下記のサイトが出典だ。ここで言う「水温」とは「表層水温」だ。
■2017年11月20日:「神奈川県観音崎と千葉県富津岬を結んだ線」以北が終了
東京湾の水温分布図を、毎日見ていくと、2017年11月20日までは「神奈川県観音崎と千葉県富津岬を結んだライン」の北側にも「17度」の水温帯が存在するが、11月20日を境に、それより北のエリアは全て16度台以下になっている。
以前「富津岬」エリアでスズキが釣れた記事&動画を掲載したが、それは「11月3日」だった。この日は、スズキの群れに遭遇し、かなり派手なボイルにも遭遇している。
千葉県「富津岬」攻略の旅 その1;満潮周りを狙うならここだ!(良型ヒット動画有り)!!)
千葉県「富津岬」攻略の旅 その2;富津北漁港周辺(良型ヒット動画有り!!)
もし、スズキの群れが「17度」の水温帯に引っ張られるように移動しているのであれば、この11月20日以降は、千葉県の小櫃川周辺の「盤津干潟」エリアでは釣果が激減しているはずだ。
また、神奈川県では「野島干潟」や「馬堀海岸」「観音崎周辺」なんかも、この日を境にそれまでの好調が不調に転じたのではなかろうか。昨年のこの頃は、三浦半島のアングラー諸氏はかなり苦戦していたはずだ。
■2017年12月1日:爆釣のメインエリアは神奈川では「湘南」、千葉では「湊川以南」へ移動
下記の12月1日の水温分布図では、三浦半島は全体的に16度台以下の水温帯に囲まれてしまっているが、前後の時期の水温分布を見ると、日によっては17度台の水温帯が入り込んできたりする日もあるため、この時期はおそらく、三浦半島は「昨日は良かったのに、今日は急に不調になった」みたいに、「釣果が非常に不安定」になっていたのではないだろうか。
この日以降、神奈川県では湘南以西のエリアが比較的マシな状況だったと思われる。しかし、これはあくまで「比較的マシ」という程度の話で、この時期、私は湘南エリアに何度か訪れたが、全くカスりもしなかったので、それほど好調とも言えない状況だったのではなかろうか。。
ヒマでしょうがない方は、下記の証拠動画をご覧頂ければと思う。ちなみに、下記の動画はボウズ動画なのでご注意を。
≪神奈川県湘南エリア「辻堂温排水」≫
かつては、この時期このポイントは地元のオヤジさん達が小遣い稼ぎに「シラス漁」をしに来ることが多いのだが、近年のシラスの不漁で、そんな冬の風物詩もほとんど見られなくなってきた。釣り師としては、水面をライトで煌々と照らされることが無くなったので、釣りはし易くなったのだが・・・。
≪神奈川県湘南エリア「江の島片瀬川河口堤防」≫
この日は、この時期に北風が吹いた時の爆釣パターンに関する、ある仮説を検証しに訪れたのだが、思いのほか風が弱く、思ったような条件になっておらず結果はボウズ。どんな仮説を検証しようとしたかは、ビデオをご覧頂ければと思う。いつの日か、このパターンでちゃんと魚が釣れたら記事にしようと思う。
また、千葉県ではこの12月1日を境に「富津岬」から17水温帯が離れて「湊川~金谷」の辺りに移動してしまっているため、12月1日以降の富津岬エリアは、例え潮がよく動く日でも、かなり苦戦を強いられた方が多かったのではなかろうか。
ちなみに、先日掲載した、ノースリープ斉藤との年始の釣りは、潮周りは良かったが、意外に苦戦し、釣れたのはヤツの1匹だけだった。
2018年釣り初め with ノースリープ斉藤:千葉県富津エリアーその1(斉藤氏スズキゲット!!)
ツアー10:2018年釣り初め with ノースリープ斉藤:千葉県富津エリアーその2 ~あの爆釣シャローは今!?~
なんだか、私の苦戦の話ばかりになってしまった。もっと魚が釣れたデータが欲しいのは山々だが、そういう苦い経験・データも、この記事のような仮説を考えるには必要なデータでもある。釣りと言うのは、いつも釣れるポイントにばかり行っていても、分かる事は限られる。釣れた回数と同じくらい、釣れない経験も積まないと真実は見えてこない。
■2017年12月19日:三浦半島終了。千葉のメインエリアは「館山」エリアに。
三浦半島の最南端に17度水温帯が最後に引っ掛かっていたのは12月19日。つまり、この日を境に、三浦半島では例え「城ヶ島」まで足を運んでもスズキが釣れないという日が多くなって来たのではなかろうか。三浦半島終了である。
千葉では「館山」エリアに17度ラインが移動していた。この日はまだ館山の「沖ノ島」「平久里川」周辺なんかでは、順調にスズキは釣れていただろう。「勝山漁港」「岩井袋漁港」周辺も良かった可能性が高い。また、例年12月は「湊川」や「金谷、竹岡」周辺の地磯は爆釣情報が多発する時期なのだが、今年は12月19日以降、これらの場所での釣果は激減しているはずだがどうだろう?
■2017年12月23日:三浦半島全域不調。千葉の爆釣ラインは「洲崎」以南のエリアに。
この時期は三浦半島は全域が16度台以下の水温帯に囲まれてしまっており、クリスマスの前後の時期は、三浦半島は全く釣れないとまではいかなくても、どこに行っても相当不調だったのではなかろうか。
千葉では、この頃から先程好調だった「勝山」「岩井袋」の辺りが不調に転じ、「洲崎」以南のポイントが好期に突入した可能性がある。「平砂浦」なんかは熱かったのではなかろうか。
■1月30日現在:「17度理論」とは別の因子でスズキの群れが動いているはずだ!!
さて、この記事を書いているのは2018年1月30日なのだが、現時点での最新の水温分布図は下記の1月30日のものだ。これを見ると、もはや「17度」の水温帯は、東京湾内のどこにも見られない。では、この時期東京湾では、もはやスズキは釣れないのだろうか?いや、そんな事は無い。
上記の「17度理論」は、あくまで「産卵に向かうスズキの追いかけ方」に関するものであり「産卵後の ” 戻りスズキ ” の追いかけ方」では無い事にご注意を。既に、ガリガリにお腹がへこんだ、産卵後のスズキを釣った方も居るだろう。
つまり「17度水温帯」が、どこにも無くなったら、今度は「17度理論」は捨てて、別の視点でスズキの群れを探す事が必要になるのだ。それについて、最後に解説しよう。
さて、ここまで読まれた皆さん、ご自身の年末年始の釣果はどうだっただろうか?上記の内容と整合性のある結果だっただろうか?上記は、あくまで「17度理論」を基にした「推測」なので、この仮説が正しいかどうかは、実際の釣果データによる検証が必要不可欠になる。
この記事の最下部に、皆さんのコメントが書き込める欄があるので、もし可能であれば、皆さんのご意見等を書き込んでいただけると有り難い。勿論「ゴルゴの理論とは全然合わない」というご意見もご遠慮なく。上記は、あくまで私個人のデータを基にした仮説なので、賛否両論があってこそ、より真実に近づけるものになると考えている。
■今後:1-2月のスズキの爆釣ポイント
産卵後のスズキは「17度水温帯」と、全く関係のない温度帯に出現する。産卵後のスズキは、例え「水温ヒト桁」の極寒水温でも爆釣することがある。ちなみに、私が確認したスズキの爆釣水温の最低記録は「4度」だ。
では、この産卵後の「戻りスズキ」は、何をヒントに狙えば良いのだろうか。ヒントは2つ。「イワシ」と「バチ」だ。
東京湾では、幅はあるものの、多くのスズキは12月~1月前半に産卵を終える。そして、産卵後のスズキは体力が落ちているため、水温の高い「低層」付近を通って、湾奥方面に戻ってくる。
そう、夏とは逆に冬の東京湾は、表層よりも低層の水温の方が高くなっているのだ。丁度、スズキが産卵移動を始める時期に、東京湾の低層水温は、表層水温よりも高くなり始める。
以下、研究論文「温暖化と東京湾の水環境-水温と水質との関係ー 」より。
水温は夏期に表層が底層よりも5℃程度高いことから、夏期は成層構造がよく発達していることが示唆された。しかし、表層と底層の水温差は 10 月過ぎには逆転し、11 月以降は底層が表層より約1℃高くなった。冬期は表層に比べて底層が相対的に水温の高い外洋水12)の影響を強く受けているためと考えられる。
≪東京湾の表層・低層の水温変化≫
また、東京湾の水温変化については、下記の論文もご参考に。
従って、この時期の大きなスズキの群れは、ボートでしか狙えないような沖合の底狙いで、ジグやバイブレーションなんかで爆釣することが多くなる。そんなパターンで釣れたスズキは、ガリガリに痩せていて、お腹は真っ白だ。
ただ、それらのスズキもずっと底付近に居るのではなく、1月半ば位になると、陸っぱりで釣れるような沿岸のポイントにも、出現しはじめる。何故、そんな低水温の場所にわざわざ来るのかと言うと、沿岸部には餌が多いからである。ちなみに、海と言うのはどこでも、水深が10メートル以内の場所の方が、ベイトとなる餌生物が多い事が知られている。
この1-2月の体力回復期のスズキは、いつまでも餌の少ない高水温帯で、のんびりしているのではなく、ある程度体力が回復したら、低水温であっても餌の多い、沿岸部に頑張ってやってきて、更なる体力回復を図るのである。
その時、東京湾で一番の狙い目が「イワシ類」と「バチ」なのである。ただ「イワシ」については、正直その動向は予測不可能。毎日、地元の海を眺めていられる方や、仲間の情報ネットワークが豊富な方以外は、現場に直接行く以外、知る事は出来ないため、事前のヒントとしては何の役に立たない。
ということで、一番「自力で予測可能」な因子は「バチ抜け」という事になる。
東京湾では例年、1月後半から2月にかけて「バチ抜け」による大爆釣が起こっている。そして、この1-2月の時期のバチ抜け爆釣は「大型」のスズキが多い。おそらく、低水温にも耐えられる体力がある大型の個体から、低水温域に戻ってくるのだろう。
そして、3月以降ゴールデンウィークくらいまでの時期は、水温上昇と共に、沿岸部に戻ってくるスズキの個体数も増えてくるが、フッコクラス以下の個体が激増してくるため、釣れる確率は高まるが、ランカーが釣れる確率は逆に低くなってくる。これは、ランカーの個体数が少なくなるというのでは無く、小型の総数が増えるので、大型が釣れる「確率」が低くなるという事である。
ということで、今年もそろそろ、各地の沿岸部の河口・運河・干潟エリアでの「バチ抜け爆釣要注意」の時期がやってきたという事になる。ランカーを狙うなら、冬の今が一番。「春一番の風が吹いたら」なんて、悠長なことは言ってられない。
ということで、先日下記のような記事を掲載した訳である。
TRUTH21「大スクープ!?見えないバチ抜け ~バチ抜け超初期の攻略方法~」
健闘を祈る!!
※また、当サイトには、簡単ではあるが、皆さんの釣りに関する意見・経験を集約するアンケートシステムを用意しておいたので、是非、ご回答頂けると有難い。幅広い皆さんのご意見が「The Truth Of Seabass」の一端を垣間見させてくれるかもしれない。
Wisdom of Crowds : 釣りに関するアンケート
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ハッシーさん
コメント有難うございます!!
確かに、関東の荒川みたいな川の、結構な上流の埼玉エリアでも、真冬にスズキが釣れることは多々ありますし、過去には正月に多摩川の丸子堰で爆釣したこともありますので、単なる戻りスズキでは無い可能性もありますね。また、何かありましたら、ご遠慮なく書き込んで下さいませ。では🖐
爆チャン・ソルストの頃からのゴルゴファンです。
東京湾における大まかな鱸の行動、参考になります。
中には川筋に残り、ハゼを食ったりしている個体も居ますが
それはまた別の動きなんだろうなと。
この辺りの考察も今後楽しみにしております。