「アルカイダの組織」「アジア通貨危機」とシーバスとベイトの関係には同じ法則が隠されている!?

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket


この世の仕組みを知るための必読書!
新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く」 (NHK出版)

アルバート・ラズロ・バラバシ (著), 青木 薫 (翻訳)


★Amazonで買う

★楽天市場で買う


Golyoko評

この本は、この世に存在するあらゆる種類のネットワークの構造特性についての大発見をまとめたものである。昔から単純なネットワークについては、理論化もし易く、いろいろな研究がされてきていたが、現実の世界に存在するネットワークは、非常に複雑で理論化が困難と言われてきた。この、より現実に近いネットワークは総称して「複雑ネットワーク」と呼ばれている。「複雑ネットワーク」には、多数の因子が相互に影響しあうことで全体の性質が決まるという特徴がある。

その複雑ネットワークに関する理論は「複雑ネットワーク理論」と呼ばれており、今や生物学はもとより、数学、物理学、経済学、社会学等々の学問の世界はもとより、マーケティング、金融・投資、軍事、政治、ゲーム、SNS、映画オタクの世界などなど、この理論が関係の無い分野を探す方が大変になってきている。

しかし、この「複雑ネットワーク理論」が本格的に動き始めたのは、いつ頃だろう?
なんと1998年で、つい最近の出来事なのだ!「複雑ネットワーク理論」は、1998年に「WSモデル(ワッツ・ストロガッツモデル)」という数学モデルが発表されたことをきっかけに注目されはじめ、1999年にアルバート・ラズロ・バラバシと、その学生だったレカ・アルバートが「スケールフリーネットワーク」と呼ばれる数学モデルを発見したことで、世界中で大ブレイクした。

本書は、このアルバート・ラズロ・バラバシ自身が「スケールフリーネットワーク」の発見に至る経緯と、その後の研究成果について、一般向けに書いた啓蒙書である。理論自体は、完全に数学や数理物理学の世界のものだが、本書には一切小難しい数式は出てこない。しかも、内容は多岐にわたり、どんな分野に生きている方が読んでも、大体自分の知っている分野とカスる内容になっているだろう。

目次

・ランダムな宇宙
・六次の隔たり
・小さな世界
・ハブとコネクター
・80対20の法則
・金持ちはもっと金持ちに
・アインシュタインの遺産
・アキレス腱
・ウイルスと流行
・目覚めつつあるインターネット
・断片化するウェブ
・生命の地図
・ネットワーク経済
・クモのいないクモの巣

私は、当サイトの連載コーナー「The Truth of Seabas ザ・トゥルース・オブ・シーバス」でも、この理論に触れている。

TRUTH3 「 弱い紐帯の強さ 」 と  「捕食ネットワーク 」

TRUTH 4  「 捕食ネットワークの頑強性 」

上記の記事の考えの一部は、本書からインスピレーションを受けて考え出したものである。

本書を読破すると、私の上記の論考への理解が深まるのは勿論だが、それ以外にも「インターネットの強さや弱点」「感染症の急速な広がり」「マイクロソフトのひとり勝ち」「アルカイダの組織」・・・などなど、一見全く関係なさそうな分野が、一つの理論で説明できることに驚かされるだろう。

ちなみに、バラバシ氏はネットワーク構造の研究をしている物理学者だが、 この理論をはじめ発表するときに、どの分野の理論として発表したら良いか悩んだそうである。理論には、数学や物理学の手法がふんだんに使われているが、内容自体は生物学や疫学、経済学、社会学、ビジネスの話だったりするのである。まさに、既存の商品カテゴリーが存在しない分野での商品開発のようなものである。ワクワクする話だ。

世の中に存在するネットワーク(繋がり)は、ランダムで無秩序な構造をしていることはほとんど無い。コネの多い俳優ほど新しい役の候補に挙がりやすく、頻繁に引用される論文は再度引用される可能性が高く、友達の多い人間は新しい友だちを作りやすい。また、金持ちには、より多くのお金が集まり易い。世の中「不公平」なのである。

そして、その不公平さは、実は、それを明確には意図しない人間たちによって、知らず知らずのうちに作られてしまうことがある。これらの、無意識のうちに不公平さを産み出してしまうメカニズムを、スケールフリーネットワーク理論は「優先的選択」という考え方を導入することで明らかにした。

「優先的選択」をしたがる性向を持つ者が多い世界では、結果として「既に多くのリンクを獲得している人間に高い確率で繋がる」ようになるのである。

「スケールフリーネットワーク理論」が理解できると「キリスト教の布教」「エイズの蔓延」「アジア通貨危機」などの現象が、何故あんなに急に進んだのかが理解できるようになる。それも本書で解説されている。そして、本書と私の記事を読破することにより、シーバスの真実へ1歩近づくことになるだろう。


※以下、参考情報

BAモデルとは

「BAモデル(バラバシ・アルバートモデル)」は、一部のノード(点、要素、人・・・etc.)が膨大な、リンク(つながり、関係、影響・・・etc.)を持つ一方で、大部分のノードは少数のノードとしかつながっていないようなネットワーク構造がなぜ生まれるのかを説明できる。

実は「スケールフリーネットワーク」を作るためのモデルは、今では数多く発見されているが「BAモデル(バラバシ・アルバートモデル)」はそのうち、最も基本的なものの一つとして知られている。

ノードを次々とネットワークに加え(これを「成長」と呼ぶ)、新しく加えるノードを、元から存在するどのノードと結びつくかを等確率で選択するのではなく、繋がりの多いノードに結びつきやすく(これを「優先的選択」という)するのが「BAモデル(バラバシ・アルバートモデル)」である。

この「成長」と「優先的選択」という、たった2つの条件だけで「スケールフリーネットワーク」という、複雑なネットワーク構造作ることが出来る。

実際にパソコンでこのネットワークを作る時は下記のような方法でやれば作成可能。

  • 1つの点(もしくは相互に繋がったいくつかの点)からスタート。
  • 次に、新しい点を追加する。この点から、すでに存在している点に対してリンクを張る。このとき、リンクが張られる確率は、それぞれの点のその時点でのリンク数に比例するようにする。
  • ②を繰り返す。

すると、出来上がったネットワークには下記の様な特性が生まれている。


  • 「ハブ」がある
    ずば抜けて多くのリンクを持つノードを「ハブ」と呼ぶ。人気ブロガーがおすすめした商品がブレークしたり、噂が一気に拡散したり、「ハブ」の影響力は絶大。
  • 「各点のリンク数」と「同じリンク数を持つ点の数」の間に「べき乗則」がある。

1つ1つの点は、ちょっとだけ不公平な「優先的選択」の性向があるだけだが、そういう点が増えてゆくと、必然的に「もの凄い不公平」な世界が産まれることが実験できるのだ。

私は、魚の捕食関係にも、上記と同様の関係があると考えている。


★Amazonで買う

★楽天市場で買う


 

また、この下に、皆さんの評価や口コミも投稿できるようにしてありますので、この本をお読みになられた方は、ご自身のレビューも是非投稿してください。

LINEで送る
Facebook にシェア
Pocket

Submit your review
1
2
3
4
5
Submit
     
Cancel

Create your own review

新ネットワーク思考
Average rating:  
 0 reviews