
今回の記事は「The Truth of Seabass ザ・トゥルース・オブ・シーバス」コーナーの記事です。このコーナーは、シーバスフィッシングについて、人類史上誰も考えてこなかった視点から、シーバスフィッシングを過剰なまでに深堀りするコーナーなので、毎回、かなり難解な内容になっているので、お読みになる方は、かなり覚悟してお読み頂ければと思います。
万人受けは全く狙っておりませんので、このコーナーの記事を、最後まで読破出来る方は、シーバスフィッシングの相当な変態マニアだと思って頂いてかまいません(笑)
今回の内容は、過去イチのガチの論考記事で、極力、過去の釣り人の経験則に頼らずに、マルチエージェントシミュレーション・捕食エネルギー論・確率的考察から導いた、過去類を見ない「論理的に正当化できる」シーバス釣りの決定版戦略です!!
また、今回の記事は、以前掲載した下記の記事の続編であり、結論としては、これらの過去の記事の内容とは異なる結論が導かれている部分もあるが、今回の記事は、これらの過去の考察内容から更に深い考察を行ったものなので、もしお時間に余裕があるなら、下記の記事もお読みいただけると、より理解が深まると思います。
特に、「TRUTH46,47」の記事で提唱している「順番思考戦略」は、実用上も実際にかなりの結果が出ているノウハウなので必見!今回の記事は、このメソッドが理論的にも有効性が高い可能性が高い事を示しています✋
★TRUTH16「スズキの捕食戦略ーその1;ランカークラスの捕食形態」
★TRUTH17「スズキの捕食戦略ーその2;恐らく世界初の釣りの記事です!マルチエージェントシミュレーション」
★TRUTH18「スズキの捕食戦略ーその3;捕食シミュレーションの作成」
TRUTH19「スズキの捕食戦略-その4;シミュレーション結果『捕食戦略の使い分け』」
★TRUTH35「ベイトの群れのどこを狙うべきか?」
★TRUTH47:コノシロパターンの攻略方法 ~「ベイトの群れのどこを狙うべきか」続編~(シーバス&コノシロゲット動画有り!)
★TRUTH46&ツアー42:都市部湾奥部 ” 釣れないボイル ” への挑戦者大募集!貴方はこのボイルで釣れるか!?(ボコボコボイル&シーバスゲット動画有り!)
⬛アメリカのイランに対する攻撃後の船舶の位置の変化
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランへの共同攻撃を開始。これを受けてイラン革命防衛隊はホルムズ海峡の通過禁止を宣言し、タンカー交通量は約70%急減。150隻以上の船舶が海峡外で停泊するなど、事実上の封鎖状態となった。
現在、船舶はジェベル・アリ、ドバイ、コール・ファッカーン、フジャイラ、ホルムズ海峡東部のTSS(船舶分離通航路)などの特定エリアに密集して停泊している状況が報告されている。国連機関の報告によると、湾岸地域で船員・乗客合わせて3万5000人が足止めになっている。
下の画像は、無料公開されている「marinetraffic.com」から2026年3月7日15時時点のホルムズ海峡付近の船舶の位置を示したものだ。この図を見ると、黄色点線で示したエリアに、明らかに船が密集している事が見て取れる。
ちなみに、アメリカの攻撃が始まる前は、こんな場所に船の密集エリアは無かったので、この現象は明らかに、アメリカの攻撃後の情勢変化によるものだ。

⬛イワシのベイトボール
上記の図をみて、私がすぐに思ったのは、この船舶の停泊位置の変化は、恐らくイランの報復ミサイル攻撃から逃れるためのもので、このエリアに密集して固まっていた方が安全だと、個々の船が判断した結果のではないかと言う事だった。
もし、そうだとすると、この150隻以上の船舶がUAE(アラブ首長国連邦)沿岸に密集した現象は、フィッシュイーターに追われたベイトと共通した動きである可能性があり、船舶の密集行動の原理が分かれば、ベイトの群れの動きの理解が深まり、何かシーバスフィッシングに応用できることもあるのでは無いか?と思ったのだった。
ちなみに、イワシが密集する理由として、最も有力な説は「希釈効果(きしゃくこうか)」。1匹で泳いでいると捕食者に狙われたとき逃げられないため、群れを作ることで、自分に狙いをつけられる確率が低くなり、自分自身が捕食される確率が低くなる。その結果、群れの外側にいる魚はどんどん内側に逃げ、球体のような形を形成していく。さらに、群れが攻撃された瞬間に分散すると捕食者を混乱させる効果もある。
これらの知見を釣りに応用した考察記事は、初めにご紹介した記事での中でも書いており、下記のような結論を導いていた。
(パソコンによる数値シミュレーションの結果)ベイトの大群を前にした場合は「真ん中狙い」の方が良いという結果が出ている・・・「真ん中狙い」でのヒット率は、スズキが「最大クラスター捕食戦略」を採用している場合「98.2ー97.3=0.9%≒1%」の違いしか無い。 ただ、先程も述べたように、ベイトの大群を前にした場合は「ランダム捕食戦略」の方が、より現実的な可能性が高いが、その場合も「真ん中狙い」と「境界狙い」の差は「94.5ー83.6=10.9%≒11%」の差だ。 「11%」というと大きな差のようにも思うかもしれないが、ボートでの釣りで入れ食いにでも遭遇しない限り、陸っぱりの釣りでは、めちゃくちゃ釣れたとしても10匹程度だろう。普通は良くて2、3匹だ。そんな現実の釣りにおいて、11%の違いというのは、劇的なヒット率の向上を体感できるほどのものではない。ただ、年間の合計釣果という視点に立つと、無視できる数字ではない・・・
ただ、上の結論では一応「ベイトの大群を前にした場合は『真ん中狙い』の方が良い」という結果になっているが ” どのくらい良いのか? ” については微妙な差しかなく「結局、ベイトの群れのどこを狙うのが一番いいのか?」が分かるような、分からないような、なんか中途半端な結論になってしまっていて、私自身、ずっと気になっていた。
今回は、この点について、しつこく考えてみようと思う。また今回は、私自身の過去の経験則や、釣りの世界でよく言われている定石みたいな話に極力頼らずに、可能な限り論理的・科学的なロジックで考えてみたので、過去イチ難しい内容になっているかもしれないので、途中で頭が痛くなってきた方は、飛ばし飛ばし読んで頂ければと思う😅
《目次》

💡「密集は目的ではなく、結果である」船舶もイワシも、各個体が独立して「最もリスクの低い場所」を選んだ結果、自然に同一地点へ収束した。これは外部脅威に対する普遍的な生存戦略パターン。人間の経済的意思決定と生物の本能が、まったく同じ形の集合を生む。
💡「密集」の構造を決める3要素
両者に共通する密集の構造は、以下の3要素で説明できる。
⓵脅威の強度 → 封鎖 / 捕食圧力の増加
②脅威の多様性 →複数脅威が同時に発生
③逃避可能方向の制限→ 逃げ場が少ない = 一点に集中
ペルシャ湾では3変数すべてが同時に最大化された。イワシのベイトボールも同じく、複数の捕食者に四方から包囲されたとき、3変数が最大化されて完全な球形(ベイトボール)が形成される。イワシは「群れよう」と意図しているのではなく、それぞれが「内側へ、内側へ」と逃げ込もうとした結果、自然に密集が生まれる。ペルシャ湾の船舶も全く同じ。
| イワシ | ペルシャ湾の船舶 | |
|---|---|---|
| 行動の主体 | 個々の魚 | 個々の船主・船社 |
| 意思決定 | 本能(無意識) | 合理的計算(意識的) |
| 結果 | 密集した球形群 | 密集した停泊エリア |
| 皮肉な結末 | 群れ自体が巨大な標的になる | 密集地帯が攻撃対象になる |
表面的には「魚の本能」と「人間の経済的判断」は全く違うように見えるが、本質は同じで「外部からの複合的な脅威にさらされた個体が、それぞれ独立して『最もリスクの低い場所』を目指した結果、同一地点に集中する」という普遍的なパターンが見えてくる。生物が数億年かけて獲得した生存戦略と、人間が経済合理性で下した判断が、同じ形の「密集」を生む——これはなかなか深い話だと思う。
イワシが群れを形成する最大の理由は「希釈効果(Dilution Effect)」。群れの中にいることで、自分が狙われる確率を数学的に低下させる。食い気のあるフィッシュイーターが近くに居る時、イワシが1匹でいれば確率100%で狙われるが、1000匹の群れにいれば狙われる確率は1/1000で0.1%になる。これは小学生でも分かる単純な割り算の話だが、数学的な最適解を進化の過程で獲得したベイトの本能的行動といえよう。