この記事は「The Truth of Seabas ザ・トゥルース・オブ・シーバス」コーナーの記事で、更に「ゴルゴ横山と行く爆釣ポイント開拓の旅 爆釣ドリームツアー」コーナーで先日掲載した「必見!!アワセ理論の盲点!?シーバスならではのアワセ理論ーその1「アワセずにアワセる極意」 ~またまた出ました!ランカーゲット!86cm!!~」の続編でもあります。
The Truth of Seabas ザ・トゥルース・オブ・シーバス
⬛前回の復習
前回の記事では、私自身の「アワセ」についての考えを解説させて頂いた。かなり長い解説になってしまったが、まとめると以下の様な内容だ。
ゴルゴ横山のアワセ理論まとめ ★基本:必要なアワセは最初の1回だけではない。どんな場合/パターンでも ” 徐々に強いアワセを追加してゆく ” という方法が最もバラシリスクを低くする事につながる。 ①「口外フッキング」が多発するパターン(バチ抜け、マイクロベイトパターン) ◎最初にすべきアワセ:「魚アワセ」 ドラグをユルユルに設定して、バイトがあった瞬間も「竿アワセ」はせずに、魚の重みがグ~っと乗ったのを確認してから、ひたすらラインテンションを維持する事だけを意識して、リールのハンドルを回し続け、あとは勝手に針が刺さる「魚アワセ」に任せて慎重にやり取りをして、強い合わせをその後に徐々に追加して、バラシ確率を減少させてゆき、ランディングまで持っていく。 ②ガッツリ口にフッキングしてくる頻度が高いパターン(イワシ、サッパ、コノシロ、落ち鮎パターン) ◎最初にすべきアワセ:「竿アワセと糸アワセの中間」 まずは気持ちよく「やや強い竿アワセ」を入れ、その後、コイツは更に強い合わせを入れても大丈夫だと確信出来た時点で「糸アワセ」を追加する。
スズキのバラシリスクを最小化するアワセの極意
そして、前回の記事の最後では、下記のように書かせていただいた。
・・・とうことで、今回は前回の記事の続編として、私なりのショックリーダーについての考えを書かせて頂こうと思う。
⬛「バチ抜け」や「マイクロベイト」パターンに代表されるトップが有効なパターンでの難題
「バチ抜け」や「マイクロベイト」パターンに代表されるトップが有効なパターンでの最大の難問は「ミスバイト」と「バラシ」が他のパターンに比べ、異様に多くなることだ。これについては、ある程度シーバシングをやられている方なら異論は無いだろう。
そして、これらのパターンで「ミスバイト」と「バラシ」が他のパターンに比べ、異様に多くなる直接的な理由は「ちゃんとフッキンングしない」から。
そして「ちゃんとフッキングしない」理由は「①ベイトが小さい、②逃避速度が遅い、③ベイト密度が高い」の3点から、最も効率の良い捕食方法が「1匹1匹のベイトを噛んで捕らえる動作よりも、ザックリ吸い込む動作が主体となる」ことで、1点を狙って「噛んで捕えようとしていない」事と「水面から飛び出さないように反転する動作」の2つが絡み合って、掛かったとしても「口外フッキング」が大半になり、その結果、この手のベイトパターンにおいては「ミスバイト」と「バラシ」が他のパターンに比べ、異様に多くなる。
ここで一つ注意点があるのだが、「ミスバイト」と「バラシ」は違うものなので混同してはいけない。これについては、以前下記の記事で詳しく分析&解説した。
●「ミスバイトとバラシの真実ーその1:バチ抜け対策ロッドは存在しない!」
●「ミスバイトとバラシの真実ーその2:釣れる確率」を高めるには?~ミスバイト&バラシ頻度の最小化~」
●「ミスバイトとバラシの真実ーその3:釣れる確率を高めるには?~針が刺さったが、外れる理由~」
●「ミスバイトとバラシの真実ーその4:釣れる確率」を高めるには(最終回)?~半端なフッキングを減らすルアーの構造~」
「バラシ」を最小化する方法については、前回の記事で解説した「アワセ」の工夫で、かなり減らすことが出来る。もちろん、ゼロにする事は出来ないが、かなり減らすことが出来る。これは、過去数年の私の実釣経験からいって、まず間違いないと考えている。
今回は「ミスバイト」を減らすメソッドの可能性について解説してみようと思う。ただ、初めに言っておくが、これは未だ私自身試行錯誤の段階のメソッドなので、前回の「アワセ」の話ほど確証が得られている話ではないので、あくまで参考ということで考えて頂ければと思う。
⬛「ナイロン」と「フロロカーボン」の特性/違い
釣りで使用される、主な糸の素材は「ナイロン」「フロロカーボン」「PE」「ポリエステル」の4種類だが「ポリエステル」は、この中で最も硬く、優れた直線性により絡みが少なくなる為、投釣や胴突仕掛けなどの、餌釣りでのハリスとして使用される事が多いので、ここでは除いて考えることにする。
また、PEは、吸水・紫外線による強力低下が無いため、根ズレ等で傷が付かない限りは、耐久性が断トツに高く、直線強度ではナイロンの2-3倍もあり、同じ直線強度なら、はるかに細くなり飛距離が伸びるため、私のように、ラインメーカーのスポンサードも受けておらず、頻繁にメインラインを交換出来るほどのおこずかいも貰っていない人間にとっては、もはや選択の余地の無い、神のようなラインといえる。
ちなみに、スピニングでPEを使う場合、何度も使っていると、糸ヨレが起こるので、何度か使ったら交換すべきという話もたまに見聞きするが、私のシーバスフィッシングにおける実釣経験では、糸に傷が付かない限り交換などせずに使い続けているが、特段、飛距離が大きく落ちるということもなく、ライントラブルも増えていないので、実用上の大きな問題は感じていない。
これは、近距離で数グラムの軽いルアーをキャストする機会が無いというシーバシング独特の釣りスタイルによるところがあるかもしれないが、私のような面倒くさがりな貧乏人にとっては、まさに救世主のようなラインだ。
ちなみに、私は釣りから帰ってからラインのチェックは一切やらない。リールとルアーを、ジャブジャブ水洗いするくらいだ。ラインチェックは絶対にやったほうが良いと思うのだが、いつもヘトヘトになって深夜(早朝?)帰宅するので、そんな細かい作業をしている気力・体力が無いのである。
ほとんどの場合、次の日は朝早くから会社で仕事があるので、そんなことをやるよりも、一刻も早くシャワーを浴びて、睡眠を取りたいのだ。釣り師の風上にもおけない行動かもしれない💦
ただPEに限らず、どんなラインも、フックも、使用後は初期性能から性能が下がるものなので、常に新品を使うのが理想なのは言うまでもない。
特にPEは、少しの傷でも強度が大きく低下するのだが、小さな傷は見落とす可能性もあるので、経済力に余裕のある方や、ラインメーカーのスポンサードを受けている方は、バンバンラインを交換するのが安全だろう。私にとっては夢のような話だが・・・
先程、メインラインのPEは「(傷が付かない限りライン交換しなくても)実用上の大きな問題は感じていない」と書いたが、釣りの最中は結構マメにメインラインやリーダーの傷はチェックしている。
少しでも、根ズレや底ズレの怪しい感触があった時は、必ずメインラインとショックリーダーの傷をチェックしている。また、魚を釣った直後や根掛かり後は、必ず「リーダー」と「フック伸び」と「針先」はチェックしている。
たまに釣りの最中に小さな傷を見つけてビックリして、その場でラインをごっそり切り落して、フルキャスト不可能になって困ることがあり、常に傷の不安は付きまとっているので、どこかのラインメーカーさんがスポンサードしてくれるなら私もバンバン交換したいものだ。
ここ20年近く、ラインブレイクで魚を逃したことが1度も無いのは、運が良かったというか、奇跡かもしれない。誰かメーカーさんを紹介してクレ💦
・・・といつものごとく話が横に逸れたが、今回はこれらのラインの特性をふまえた上で、メインラインを「PE」とした場合に、ショックリーダーを「ナイロン」「フロロカーボン」のどちらにすべきかを考えてみよう。
下の表の数字は、ラインメーカーの「サンラインHP」「ゴーセンHP」で現在公表されているものから、一部抜粋して一覧表にしたものだ。別に、これらのラインメーカーを選んだことに特段意味は無い。
ネットで検索したら、たまたまこの2つのメーカーのHPにライン素材別の数値の一覧表があったのを見つけたから選んだまでだ。
一般に「真水」の比重は「1.00」で、「海水」の比重は「1.03~1.04」くらいなので、それより軽い比重の物質は全て水面に浮く。その事を頭に置いたうえで、下の表をご覧頂くと一目瞭然だが、
★「PE」は水に浮く。
★「ナイロン」と「フロロカーボン」は水に沈む。
※但し、「フロロカーボン」の方が、約1.6倍比重が重いので水に早く沈む。
※水の屈折率1.33に近い程見えにくくなるので、最も水中で見えにくいのは「フロロカーボン」。
最近は水に沈む「高比重PE」等の特殊な素材も出てきているが、普通のラインであれば、この傾向はどのメーカーのラインでも共通だと思っていい。特殊なフラッグシップ製品以外の、一般的なナイロンやフロロカーボンの製品なら、大体どこのメーカーも同様の数値だ。
ちなみに、下の表の項目以外で、購入時に私が気にするラインの特性としては「平均直線強度、対摩耗性能、同じlb数の時の太さ」の3点があるが、この3つの特性は、同じ素材でも商品/ブランド毎にかなり異なるので要注意だ。
特に「対摩耗性能、同じlb数の時の太さ」については、同じ素材でも、一般に高額な商品/高級ブランドほど「強く、細く」なっている事が多いので、事前にネットでスペックとおこずかいのバランスを検討してから購入するといいだろう。
やはり世の中「金」だ。主要な釣り具に関しては、ラインに限らず、リールでも竿でも、高い物ほど高性能というのは間違いないが(小物に関しては100均モノでも結構使えるものがあるが・・・)、個人的な実感で言わしてもらうと、ある程度有名な日本のラインメーカーの名前が印字されている製品なら、安いブランドのラインでも、個人が趣味で釣りを楽しむ分には、実用に耐えない性能のモノは、ほぼ無いと思う。
20年ほど前は、量販店でワゴンセールになるような、メーカー名も印字されていないような激安ラインは、初期性能はまぁまぁでも、劣化が早く、私のようにリーダーも傷が付かない限り、結びっぱなしで何度も使い続けるようなガサツな人間は、何回か釣りをした後は、手で引っ張っただけで、ラインが切れてしまうようなモノが結構あったが、最近はそういうヤバいラインは、ほとんど出会わなくなった。
ちなみに、前回と今回の取材でランカーを獲った時のショックリーダーは、下記のブランド!?の「14LB」のモノで、2回の取材時には共にリーダーは交換せずに、そのまま使っていた。
(※画像出典:「クレハ合繊株式会社HP」より)
このラインを店頭で見かけた時は思わず二度見してしまったが、あまりの潔さと価格の激安度合に惹かれ買ってしまった。メーカーは、よくある某国製のパクリ品かと思ったら、ちゃんと「Seager」のメーカーが自ら作っていたので、これまたビックリ!
一応、使用前にラインを手で触って確かめてみたが、確かに「Seager」と比べると、ラインが硬く、しなやかさに欠ける感じがし、よくある ” 安っぽいライン感 ” がプンプンだったので、素材は明らかに違うのだろうが、それほど悪くは無さそうな感じもした。。。
《フロロカーボンリーダー「Seagerではありません!」の驚愕の激安価格》(※表示価格は全てメーカー希望小売価格(税抜き)です(「メーカー公式HP」より))
しかし、腐ってもフロロカーボンラインだ。しかも、自社原料を用いて繊細なフロロ系釣糸の開発を行っているのは、クレハグループだけであり、ある意味フロロカーボンラインに関しては、世界でも有数のプロフェッショナルメーカーだ(詳しくは、「公式HP」をご確認を)。
そんなメーカーなので、いくら低価格商品といえども、カスのようなラインは販売しないだろう・・・ということで、今現在もお試し兼ねて実戦で使っているので、耐久性も含めて、別の機会に詳しくレビュー記事を書かせて頂こうと思う。
もし、もう暫く使ってみて、実用上特に問題が起きないようであれば、この価格ならおこずかいを気にする事無く(いや、全く気にしない訳にはいかないが・・・💦)バンバンリーダーを交換することが出来る!
下の動画は、前回の取材記事で掲載したもので、この動画では2匹目に88cmのランカーが掛かっているのだが、この時使っていたリーダーは、上記の「Seagerではありません!」の14LBなのだが、そのやり取りの最中に、ラインが何かに擦れてキリキリと嫌な音がしているのが聞き取れると思う。
ここまでハッキリと、何かに擦れている音が聞こえるのも珍しく、取材時は生きた心地がしなかったが、ランディング後にラインをチェックしたところ、ラインには全く傷一つ付いていなかったので、未だにそのラインは付けっぱなしだ。
恐るべし「Seagerではありません!」(笑)。Made In Japan万歳だ。
但し、メーカーも自ら言っているように、このラインはSeagerよりも強度が弱いのは確かだし、今回の根ズレの音からして、ゴツゴツした岩系の根やストラクチャーではなく、表面がツルツルの竹杭のような物だった可能性が高いので、運が良かっただけという面も否めない。
ちなみに、フロロカーボン素材は、同じLB数なら、ナイロンに比べ耐摩耗性が高いが、ゴツゴツした岩等の「尖った硬いもの」に触れた時の強度は、ナイロンラインよりも弱くなるのでご注意を。
ちなみに、強いと言われているPEラインも、そういうシーンでは、滅法弱いので、どんなラインを使おうが「尖った硬いもの」に根ズレしそうな立ち位置には、そもそも立たないようにするのが、最も重要な事だと思う。
⬛「マイクロベイト」や「バチ抜け」で「トップルアー」を使用する場合、ショックリーダーは「ナイロン?フロロカーボン?」どっちがいいのだろう?
ここまで、ラインの素材毎の特性について、ダラダラと書いてきたが、今一度「ナイロン」と「フロロカーボン」の特性を思い出してほしい。
★「PE」は水に浮く。
★「ナイロン」と「フロロカーボン」は水に沈む。
※但し、「フロロカーボン」の方が、約1.6倍比重が重いので水に早く沈む。
ここで、それぞれの素材のラインをメインラインにして「トップ系」のルアーを直結してキャストして、ラインスラッグを出した時のイメージは、下のイラストのようになる。
実際は、フロロカーボンラインでも、ラインテンションを保っていれば、ここまでだら~んと水中に沈む事は無いと思うが、あくまでラインの比重特性を示した概念図ということで、ご理解頂ければと思う。
ここで更に、メインラインを「PE」にして、ショックリーダーを「ナイロン」や「フロロカーボン」にした場合を、少々極端にしたものが下のイラストだ。「PE」は水に浮き、リーダーは水中に少し沈んでいるが、フロロカーボンの方が「約1.6倍」早く水に沈んでゆく。
上のイラストの状態でスズキがバイトして、釣り師が「アワセ」を入れると何が起こるだろうか?下のイラストのような事が起こる。
ブラックバスの世界では、トップ系のペンシルでも、瞬時に強く引くと水中に少しダイブするものと、ほとんどダイブしないモノの2種類があるのだが、ダイブ系のペンシルを使うときは、そのダイブ特性を強く出したい時にフロロカーボンラインを使う。その理由は上の図で示した内容にある。
一方、あまり派手にダイブさせずに、水面を滑るようなドッグウォークをさせたい時はナイロンラインを使う。フロローカーボンラインは、水中に沈んで居る為、竿を煽った時に、上のイラストで示した矢印のように、一瞬斜め下方向の力が掛かり、ペンシルの頭を水面に叩きつけて水中にダイブさせる力が働くからである。
ちなみに、竿を「上に」煽っても「下に」煽っても、最初の一瞬は「下方向」に力がかかる。一見、竿を「上に」煽れば「上方向」の力が掛かるような気がする方もいるかもしれないが、実際は最初の一瞬は「下方向」に力がかかるのである。
そして、フロロカーボンラインが深く沈んでいる時ほど、この「斜め下方向の力」の下方向の角度は大きくなる。つまり、フロロカーボンリーダーの長さを長くとる程、リーダーは深く沈むので「斜め下方向の力」の下方向の角度は大きくなるのだ。
ここで、前回解説した「魚アワセ」を思い出してほしい。「バチ抜け」や、ハクに代表される「マイクロベイトパターン」においては、「口外フッキング」が大半を占めて来る為、バイトの瞬間に「即座に強いアワセ」を入れるのは、口外に半端に引っ掛かったフックを、テコの原理で自ら外そうとしている事になるため、魚の重みを感じてから、やり取りの過程でフッキングが安定するまでは、相当慎重にやり取りしないとミスバイトやバラシが多発すると書いた。
《前回の記事からの抜粋》
「バチ抜け」や「マイクロベイト」パターンにおいては、ドラグをユルユルに設定して、バイトがあった瞬間も「竿アワセ」はせずに、魚の重みがグ~っと乗ったのを確認してから、ひたすらラインテンションを維持する事だけを意識して、リールのハンドルを回し続ける事でラインテンションを一定に保ち、あとは勝手に針が刺さる「魚アワセ」に任せて慎重にやり取りをして、フッキングが安定して来たタイミングで、リールのスプールを手で押さえながら、強い合わせをその後に徐々に追加して、バラシ確率を減少させてゆき、ランディングまで持っていく。
更に、前回の記事では、釣り師というものは、アタリがあると、どうしても直ぐに強くアワセたくなるので、この「魚アワセ」は、ベテランになるほど難しくなると書いた。つまり、いきなり強いアワセを入れないように相当意識してても、バイトがあった瞬間は興奮して、ついつい ” よっしゃーヒットォー!! ” と、竿を煽って鬼アワセを入れたくなるのである。
また、どんな時もシーバシングにおいては「上方向のアワセ」は、フッキング率が低下する傾向がある。上方向に竿を煽ると、せっかく下方向から口を開けてルアーを吸い込もう/噛みつこうとしているスズキの口から、ルアーを引っこ抜こうとしている事になるからだ。
これは、魚の口とライン、ルアーの角度や位置関係を考えれば理解出来ると思うが、フルキャストで遠方を狙っている時は、あまり気にしなくても良くなるが、接近戦になる程「上方向のアワセ」はフッキング率が低下する事になる。いずれにせよ、どんな時もアワセは「横方向」か「下方向」にするのが安全だ。
ここで、再度上に掲載したイラストを、下に再掲するので読み返してみてほしい。
もうお分かりだろう。「バチ抜け」や、ハクに代表される「マイクロベイトパターン」における「魚アワセ」の難しさは、周囲でバンバン派手なボイルが起こっている時ほど「ついついバイトの瞬間に ” よっしゃーヒットォー!! ” と、上方向に竿を煽って鬼アワセを入れたくなる」点にあるのだが、フロロカーボンリーダーを通常時よりも長くとることで、それらの「難しさ」を一挙に解決してくれる可能性があるのである。
つまり、「バチ抜け」や、ハクに代表される「マイクロベイトパターン」に有効な「過度な早アワセ防止」と「下方向へのアワセ」の2つを「長いフロロカーボンリーダー」がサポートしてくれるのである。
ちなみに「ナイロンの方がフロロカーボンよりも伸び易い」という点をやたら強調して、ショック吸収機能があるとか、アワセが入りにくくなるみたいな事を言っている記事や動画をたまに見かけるが、ナイロンとフロロカーボンの伸び易さの違いは、それほど大きな物ではないので、ショックリーダー程度の長さで使う場合は、事実上無視していい。
その違いが大きな影響を与えてくるのは、GTフィッシングのように、重いルアーをフルキャストする場合や、ジギングのように長い距離糸を出すような場合だ。少なくとも、1ヒロ程度の長さのリーダーでは、その違いは事実上ほとんど無視していい。気になる人は、ご自分の手で、1ヒロ位の長さのナイロンラインを思いっきり引っ張ってみるといいだろう。その伸びは大した長さにならない事が確認出来るはずだ。
竿でアワセる程度の力を掛けても、実際はナイロンラインでも、ほとんど伸びないので、ショックリーダーとして使う場合は、伸長率の違いを気にするのは、ほぼ無意味・・・と言うか、実際、バラシ率に違いは出ない。「伸長率」よりも「比重の違い/沈降速度の違い」や「透過率」を気にするべきだ。
とはいえ、実際のリトリーブ時は、ラインテンションが掛かっているし、リーダーの長さもたかが知れているので、フロロカーボンを使おうが、ナイロンラインを使おうが、それ程水中にリーダーがたるんで沈んでいるという状態にはならず、フロロカーボンの「比重重さ/沈降速度の速さ」が全てを解決してくれると期待するのは誤り。フロロカーボンリーダーだけで全てが解決される訳ではなく、どんなリーダーを使おうが、釣り師サイドの「慎重なアワセ&やり取り」は必要になるのでご注意を。
上のイラストは、あくまで極端な状態を図示したもので「長めのフロロカーボンリーダーを使用する」事は、あくまで自分の下手クソさを、少しだけ道具にカバーしてもらう為の工夫でしかない。しかし、やらないよりはやったほうが良いだろう。
釣果向上とは、色々な事が複雑に絡み合っているので、何か1つの事をやれば急に釣果が向上するものではなく、このような「やらないよりはやったほうが良い」細かい事の積み重ねとも言える。
ちなみに「長めのフロロカーボンリーダー」というのは、どのくらい長いのかというと、私の場合、リーダーの長さは以下のような感じで変えている。但し、これはあくまで私が過去の経験で、個人的に一番安心感を感じるバランスだというだけで、これ以外の長さが悪いという明確な理由もないので、あくまで参考程度にどうぞ。
①ガッツリ口にフッキングしてくる頻度が高いパターン(イワシ、サッパ、コノシロ、落ち鮎パターン)
◎リーダーの長さ:約0.5ヒロ
※1ヒロ=「両手を広げた時の長さ(約1.5メートル)」
※このパターンの場合はリーダーの素材が「ナイロン」か「フロロカーボン」かは、私自身はあまり気にしていないが「ナイロン」の方が、同じLB数なら、かなり細くなるので、流れが強い場所や強風時は「ナイロン」の方がラインが流されにくくなる(気がする)ので好き。但し、好きだからと言って、こういう場合に、私が常にナイロンラインを使っているかというと、そう言う訳でもない。皆さんだって、ポルシェが好きだというのと、実際にそれを買うのは別問題だろう。ただ「フロロカーボン」は多少太くても、水中ではかなり見えにくくなる(魚によってはほぼ見えなくなる事が実証されている)ので、潮が澄んでいるデーゲーム時には「フロロカーボン」を多用するようにしている。
②「口外フッキング」が多発するパターン(バチ抜け、マイクロベイトパターン)
◎リーダーの長さ:約1~1.3ヒロ
※このパターンの場合はリーダーの素材は「フロロカーボン」1択。
⬛これがゴルゴ横山のシーバシングだ!! ~ ゴルゴ横山がウェーディング時にランディングネットを使わない理由 ~
先ほど「釣果向上とは・・・やらないよりはやったほうが良い事の積み重ね」と書いたが、ここで1つだけ言いたい事がある。ウェーディング時のランディングネットの使用についてだ。
はじめに断言しておくが、ランディングネットを使った方が間違いなくランディングの成功率は上がるので、結果として釣果は増える。
昔、私は神奈川県の野島公園干潟で、雑誌の取材時に痛恨のバラシを連発した後、玉網の網の部分だけを背中に装着してウェーディングの釣りを試みたことがある(当時は、ウェーディング用のランディングネットは発売されていなかった)。
昨今はウェーディング専用のランディングネットも発売されているので、それを使うことも考えてみた事があるのだが、何となく気が進まず、未だ購入に至っていない。私の過去の取材動画をご覧頂ければと思うが、ウェーディング時にランディングネットでスズキをランディングしている動画は1つも無いと思う。
単に、持ち運びが面倒くさいし、大きなものを装着して釣りをするのがうっとうしいし、ウェーディングしている状態でランディング後に左手で竿を持った状態で、右手に暴れる魚が入ったネットを持ち、魚の口から針を外すのは、どの手ですれば良いのか?(私には手は左右2本しかない)という問題もあるが、昔からネットを使うのは、なんか好きになれないのである。
そんな中、前回の取材で3連発バラシをした時に、またランディングネットの活用が頭をよぎり、かなり悩んだのだが、やはり今回もランディングネットは購入せずに取材に臨むことにした。
何をそんなに悩んだのかと言うと「何を以って自分のシーバシングの完結とみるか」である。私自身の過去の経験では、ランディングネットがあればゲット出来た魚は間違いなく居た。それも結構な数だ。前回の取材で逃した2匹目のスズキなんか、上の動画をご覧頂ければ分かると思うが、手元でバラしているので、ランディングネットがあれば100%ゲット出来て居ただろう。
しかし、あの2匹目は、別にランディングネットが無いからバラシたのでは無いのである。失敗の原因は他にあり、それを改善すればランディングネットが無くても、ちゃんとゲット出来た可能性が高いのだ。ランディングネットがあれば、その「失敗の原因」をわざわざ改善しなくても「網がカバーしてくれる」のである。
つまり、単に「魚をゲットする事」だけが目的なら、その「失敗の原因」を究明して、自分自身の釣りを改善する必要は無く、ランディングネットを購入すれば「魚のゲット率」は間違いなく上昇する。しかし、それでは自分自身の釣りの問題点は放置されたままで、釣り師として何の成長もしないまま「ゲット率」だけが上がってゆく。
まぁ、ランディングネットの使い方にもマニアックなノウハウというものがあるとは思うのだが、少なくとも私自身は出来る限り「道具に助けられる範囲」を最小化したいのであり「網に助けられて」ゲット出来たとは思いたくないのである。
勿論、足場が高い岸壁や磯場、船などで、無理に魚を抜き上げようとしてラインブレイクして魚を落っことすなんて事は最悪なので、そういうケースでは私も玉網を使うので、どんな場合も網は使わないと言っている訳ではない。
出来る限り、自分自身の知識や経験・ノウハウだけで「魚の口を掴む所」までを最終ゴールにしたいのである。これは、別にランディングネットを使うことをバカにしている訳ではなく「何を持って自分のシーバシングの完結とみるか」の考え方の違いだ。
特にデカイ魚ほど、私は網ではすくいたくない。網ですくってしまうと「網に助けられている」様な気がするからである。まぁ「網」というものは、そもそも釣り師を助けるものなので、それを否定したら元も子もないのだが、もっと言うと「お前は下手クソなのに、網があったから獲れたんだろう」と釣りの神様に笑われているように気がするのである。
特に、苦労して出会った奇跡のモンスタークラスほど、私自身は最後まで自分の力・責任だけで完結させたいのである。だから私は、例え1発勝負のメディアの取材時なんかでも、ボートシーバスを除き、出来る限り網は使わない様にしている。網の出撃は、最後の手段だ。
また、私の場合、他人からの情報やネットの釣果情報を用いて釣り場を選ぶことはまずやらず、むしろ爆釣情報が多く飛び交っているポイントは避ける事の方が多い。この事は私の友人達なら皆証人になってくれるだろう。網を使うのさえ嫌がる私が、他人の情報なんかで自己記録最大のスズキなんぞ釣ってしまったら一生悔いが残る。
ただ、そんなカッコイイ事を言っても、現実はそう甘いものっではなく、仲間同士の信頼できる情報は多い程、間違いなく釣果は上がる。逆に言うと、私のような頑固者はボウズなんてしょっちゅうだし、その辺のアングラーさんなんかよりも釣れている数は少ないかもしれない。
更に言えば私は、色々なメディアに登場したり、釣り具メーカーさんとコラボしたり、釣り具のプロデュースをしてきたが、いわゆる「釣りだけで食っているプロアングラー」ではなく、家族持ちのサラリーマンアングラーだ。釣りに行ける日は極めて限定され、釣りに費やせるお金なんか、一般のアングラーさんよりも多分少ない。
例え1日ヒマな日であっても、奥さんの機嫌が悪ければ、釣りに行くなどと恐ろしくて口にも出来ない。そんな私にとって「1回の釣り」は、まさに「珠玉の瞬間」でもある。もはや釣りに行けること自体、いくつもの奇跡が重ならないと不可能ではないかと思えるくらい貴重なものなのだ。
また、私も若いころはアホみたいにスズキの数を釣った時期もあり、行く所に行けば数時間で100匹、200匹釣れる場所がある事も知っているし、実際にそういう釣りも何度も経験してきた。
ちなみに、私の過去の経験では、爆釣時に人間がちゃんと釣った数を数えていられるのは、相当意識していても30-40匹くらいまでである。それ以上は、どーでもよくなってくるし、覚えていられなくなる。
まぁ、ルアーや釣り具のプロトのテストや、ルアーのカラーの影響や、アワセの方向でのバラシ率の測定や、フックの返しの有無でのバラシ率の検証や、クランクベイトでスズキはどの程度釣れるのか・・・みたいな細かい検証をする時は数が釣れないと困ってしまうのだが、そういう釣りはもう散々やってきた。
最近の私は、もう少し別の方向でシーバシングを極めたいと思っている。
そんな私にとって、毎回の釣りはとても貴重な「奇跡の瞬間」でもあり「何を持って自分のシーバシングの完結とみるか」は、私の釣り人生において、単なる「釣果」や「金銭的メリット」よりも遥かに重要な事なのである。
だから、私としては「散々苦労して辿り着いた1匹のバラシ」についても、少しでも可能性がある限りランディングネットの使用で解決したいとは思わない。
「散々苦労して辿り着いた1匹」だからこそ「その1匹の魚の口を自分の手で掴むまでの全て」を知りたい/会得したいのである。特に「至近距離でのバラシ」については「敢えてランディングネットを使わずにどこまで行けるか」を追求しなければ見えない世界というものがあると考えている。
何度も言うが、以上のランディングネットの話は、あくまで私の「個人的な釣りに対する考え方」の話しで、ランディングネットの機能や有用性を否定する話ではなく、更に言うと、ランディングネットを使っているアングラーの方々をバカにする気も全くない。むしろ、ウェディングにおいても、ランディングネットを使用する方が「釣果を増やす」という意味では、間違いなく合理的な選択だ。
「何を以って自分のシーバシングの完結とみるか」という考え方については10人10色であって良いと思っているし、むしろ皆が同じ考え方の方が気持ち悪いと思う。例え釣果が減ろうとも、そこまで追求したいと思う、私のような変人が1人くらい居ても、別に皆さんの釣果が減るわけでも無いので、お許し頂ければと思う。実は、このコーナー名でもある「THE TRUTH OF SEABASS」には、そんな思いも込められているのである。
⬛3連続バラシの原因解明
・・・ということで、自分の釣りを少しでも改良するために、前回の取材のスタート時にいきなり3連続でバラシ&ミスバイトを連発してしまった理由を考えてみたいと思う。その時の実釣取材の無修正フル動画は、前回の記事に掲載してあるが、再度私のバラシ&ミスバイト部分だけを抜粋した動画を再掲しておくので、まずは皆さんなりに、この時の私の失敗理由を考えてみてほしい。
《1回目のバラシ理由》
このバラシの瞬間をよく確認してみると、途中までは順調に魚が寄って来ているように思うが、魚がエラ洗いして首を派手に振った瞬間にルアーが外れている事が分かる。また、このバラシの瞬間には、魚は止まっておりリールのハンドルを回さずに竿で ” ためる ” 動作をしており、ドラグも出ていない事がわかる。
つまり、半端に「口外フッキング」した状態で、魚が首を派手に振った瞬間にラインテンションを一定に保って居なかったために、微妙な糸フケが出て、過度な遠心力がルアーに掛かり、針が外れてしまった可能性が高い。
これを防止するには、魚が止まっても、予測不可能な突然のエラ洗いを警戒して、ゆっくりリールのハンドルを回して、微妙に一定のドラグが出ている状態を保っていれば、魚が首を振っても、余計な糸フケは出ずに、過度な遠心力がルアーに掛かって針が外れる事を回避出来た可能性がある。
《2回目のバラシ理由》
このケースでのフッキング状態は、スズキの口を橋渡しするように2つの針がフッキングしている、いわゆる「ハーモニカ食い」状態で、しかも、リーダーが下のイメージ図のような感じで、ルアーの下をくぐるような状態になってフッキングしていた。
一般に「ハーモニカ食い」のフッキング状態の場合、ルアーが邪魔してボガグリップで口の適切な位置を掴みにくくなるので、慎重なランディングが求められる。
更に、この場合は、リーダーがルアーの下をくぐっている状態だったので、このままリーダーを上方向に引っ張ると、ルアーの中央付近に上方向の力が働き、フックが2ついっぺんに外れてしまう可能性が、通常の時よりも高くなる。
こんな感じのフッキング状態になっている事は、手元に寄せたときにハッキリと目視で来ていたのだが、ここまで寄せたという安心・油断と、早くゲットしたいという焦りが交錯し、いい加減にボガグリップを口に突っ込もうとして、口を掴むことに失敗し、その瞬間に魚が抵抗して暴れ、フックアウトしてしまった。。。
つまり、この手元でのバラシは、もっと慎重にボガグリップの狙いを定め「1発」で、適切な隙間にボガグリップを突っ込む事が出来れば、回避出来た可能性が高い。
要するに「油断」と「焦り」が産んだバラシという事であるが、ここまで魚を寄せられていれば、多少「油断」と「焦り」があったとしても、余程緊張して手が震えるみたいな事でも無ければ、ランディングネットがあれば無事ランディング出来ていた可能性が高い。
しかし、そんな風にランディングネットで魚を簡単にゲットしてしまっていたら、上記のようなフッキングパターンでの危険性に気付かなかった可能性が高いだろう。悔しい思いをしたからこそ、そこまで考えたのである。
《3回目のバラシ理由》
これは完全に「最初のアワセ」の失敗だ。アワセと同時にフックアウトしている。
この前に2回連続で失敗してはいたものの、周囲ではバンバンボイルが起こっており、私の心はかなり興奮状態にあった事もあり、TOPでの派手なバイトの瞬間、思いっきり上方向の ” 鬼アワセ ” を決めてしまい、見事スッポ抜けたという感じだ。
ただでさえ「上方向の鬼アワセ」は、TOP系ルアーで一番やってはいけないアワセなのだが、しかも、この時のバイトは、かなり至近距離で出た事もあり、余計にスッポ抜けし易い状況にあった。まさに ” やってはいけないアワセ ” のお手本のようなアワセをしてしまっていたのであった・・・。
フル動画の中でも言っているが、前回の取材は、久しぶりにTOP系ルアーを使用したという事もあり「TOPの釣り」の感覚がしっかり意識出来ていなかったというのが根本的な敗因だ。私自身TOPの釣りは、今まで散々やってきているのだが、未だにこういう失敗をしてしまう・・・ ” 分かっちゃいるけどやめられない ” の典型。皆さん、お気を付けアレ💦
また、上記の動画の前回の取材時のベイトはハクらしき「マイクロベイト」だったのだが、その時のリーダーは「約0.5ヒロ」で、私自身が「マイクロベイト」のTOPパターンで推奨しているリーダーの長さより、かなり短いリーダーセッティングだった。
⬛いよいよ、この日の取材のフル動画へ・・・
いつものごとく前書きが長くなってしまったが、そろそろこの日の取材の具体的な話に移ろうと思うが、その前に口直しとして、この日の86cmランカーシーバスのヒット&ゲットシーンの抜粋動画を掲載しておこうと思う。
ここまで延々と「魚アワセの重要性」と「長いフロロカーボンリーダーの有用性」について語って来たが、今回の取材では、かなりこの2点を意識して釣りをしていて、更に上記の3つの反省もしっかり頭に入れて釣りをし、結果的には ” 最後の最後で出た奇跡の1匹 ” のバイトを逃さずに、無事、ボガグリップでのランディングにまで辿り着くことが出来た。
このヒットに至るまで、結構な時間ノーバイトの時間が続いており、私の心の中では諦めムードが漂いはじめていたのだが「ルアーが水中にある以上最後まで何が起こるか分からない」と自分に言い聞かせ、集中力が途切れてきている自分を鼓舞しつつ「アワセない、アワセない・・・」と呟きながらリトリーブをしていた。
今回の記事は、かなり長くなってしまったが、この「最後の最後に飛び出した1匹のランカー」のゲットは、多くの事を考え、自分の釣りを改善し ” 奇跡の1匹 ” を逃さない努力をしてきた結果とも言える。あくまで結果論ではあるが、こういう釣りが私は好きなのである。
とりあえずヒットシーンだけ手っ取り早く見たい方は、この動画だけでOKだろう。このヒットに至る実際の状況にご興味のある方は、下にノーカットのFULL動画も掲載してあるので、そちらをじっくり御覧頂ければと思う。
⬛今回の開拓チャレンジエリア
上でも散々書いたとおり、今回の取材ポイントは、前回と同じ茨城県涸沼川のポイントだ。
(※出典:「川の名前を調べる地図」)
⬛今回の開拓ツアー概要 ~今回86cmのランカーシーバスが釣れたポイントはズバリここだ!!~