ゴルゴ横山式メソッド2:感度を拾う身体

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淡水魚のルアーフィッシングに比べると、海のルアーフィッシングはガサツだという意見もありますが、それは誤解です。私はスズキ狙い専門ですが、ジギングでもGTでも、その世界なりの繊細で細かいテクニックやメソッドは存在します。繊細か、ガサツかは、自分がどこまで拘りを持って釣りをするかでしょう。

「繊細さ」というと「感度」という言葉がすぐに思い浮かびますが、この「感度」について一般によく語られるのは「竿」や「糸」についてです。しかし、これだけでは片手落ちだと私は考えています。何故なら、感度を感じるのは「竿」や「糸」ではありません。「釣り師の手」です。特に重要なのは、竿を持っている「右手」だと思います。そして、その「右手」には「自分の体」が直接繋がっています。

つまり、リトリーブ中に体がグラグラ揺れたり、左手でリールのハンドルを回す時に、右手が微妙に揺れたりすると、スズキのショートバイトや、ヒレがカスったりした時のルアーの揺らぎを感じることは出来ません。また、場合によっては「1/32オンス」のジグヘッドにシラスワームを付けて、足下で微妙にプルプル振動させながら少しずつリトリーブするみたいな事もすることがあります。

そんな、微妙な水中での出来事を感じるには「最高の感度の竿や糸」に加え「最高感度の手」が必要になります。どんなに良い道具を使っても、それに伝わる微妙な振動を、自分の手が感じなければ、せっかくの高価な道具も宝の持ち腐れになります。今回は、それを皆さんに再確認して頂くために、お恥ずかしながら私のリトリーブ中の動画を公開させて頂きます。

この動画では「どこで釣りをしているか」や「どんな道具を使っているか」や「そもそもこの時釣れたのか」等の事は全て無視して、私の左手の動きと、それを支える体の動きにご注目下さい。ポイントも、別に隠すつもりはありません。先日掲載した動画と同様、撮影場所は旧江戸川河口の葛西臨海公園です。

ただ、何も説明せずにこの動画を見たら、死ぬほど退屈で意味の無い動画だと思います。魚なんて一切登場しません(笑)こんな動画をわざわざ公開した方は今までいらっしゃったでしょうか。

しかし、この動画には深い意味があるのです。動画を見ると分かり易いと思いますが、リールのハンドルを回している「左手の手首から先」以外の部分は、全く動いていない事が分かると思います。左手の肘や肩もほとんど動いていないと思います。

この動画は、そんなことを意識して撮った動画では無かったので、後半では雑談みたいな話をしていますが、話をしながらリトリーブをしている時も、左手の手首より先以外は全く動いていない事が見て取れると思います。また、体の向きを変える瞬間も、左手の肘や肩は動かず安定していると思います。左手の肘や肩の部分だけをアップにして動画を取ったら、静止画像に見えると思います。余計な動きが竿を持つ右手に伝わらない分、右手は感度を感じることに集中できます。無駄話をしている最中も、常に右手は水中の状況把握に専念しています。右手には、竿を持ち支えるという機能だけでなく、高感度センサーという役割もあるのです。

この時使用していた竿は、ゼナックのプレジール アンサーPA93だったと思います。プレジール アンサーシリーズは、この動画をご覧頂ければわかると思いますが、ガイドの数が一般的なシーバスロッドの約2倍の数が付いており、更にガイドのサイズも小さいものを使用しています。一見すると、違和感を感じる方もいるかもしれませんが、それによって驚愕的な感度と、ライントラブル減、飛距離の拡大を実現しています。詳しくは、下記のリンクをご参照ください。

「プレジール アンサー」のご紹介

しかし、最高レベルの感度を持つ、竿に伝わってきた振動を最終的に感じるのは「自分の手」です。リトリーブ動作をすることで、竿を持っている右手に余計な動きをさせたり、余計な振動を伝えたりしないよう、体全体をしっかり安定させ、ハンドルを回す動作によって、ハンドルを回している左手の動きを、左手の肘、肩ひいいては体全体に伝えないように、左手だけが自分と切り離されて自動的に動いているかのような境地でリトリーブをすることで、竿や糸の持つ性能を最大限引き出すことが出来るようになると思ってます。逆に言うと、安い道具を使っても、人間サイドの動きや身体がしっかりしていれば、下手な人間が高級な道具を使うよりも、ある程度繊細かつ高度な釣りをすることは可能です。勿論、心技体に最高の道具が加われば最強であることは言うまでもありません。

以上の点をふまえ、今回は私の「リールのハンドルを回す左手(特に左肘と肩が動かない点)」と「体全体の安定感」をご確認ください。感度を感じるのは「道具」ではなく「人間」です。魚を釣るのも「道具」ではなく「人間」です。

切れる包丁で最高の刺身を切り出すには、人間側の腕も重要になります。イチローのバットを使っても、私にはメジャーリーガーの球は打てないでしょう。しかし、イチローも私たちには見えない努力をしています。

だから、釣りは面白いし、遣り甲斐があるのです。同じ道具を使ってる人間より一歩抜きん出られるかどうかは、自分次第でもあると思っています。


 

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