今回の記事は「The Truth of Seabass ザ・トゥルース・オブ・シーバス」コーナーの記事で、前回の記事「TRUTH48:釣りに行ける時間帯を時合に変える未公開メソッド大公開!!(その1:理論編)ゴルゴ横山式「ド干潮潮止り爆釣ポイント開拓理論」の続編です。
⬛ちょっとだけ前回の復習
前回は「ド干潮潮止まり」のような、潮が全く動かない時間帯で爆釣するためのノウハウの1つとして「段差流」に注目する方法について解説した。
海での釣りは、基本的には「海水が強く流れる時間帯」が、釣れる確率が高くなるのだが、多くの方は「海水が強く流れる時間帯」を推測するのに「潮汐流」しか念頭においていない。
私自身は「海水が強く流れる時間帯」によく釣れるのは、単に魚たちは「海水が強く流れる場所に引き寄せられる性質」があるからで、魚たちは別に「海水が強く流れる理由」については、特に好みは無いと考えている。
つまり、海水の流れが強くなっている場所であれば、その理由は問わないということである。更に言えば、釣り師たるもの、出来れば地味な釣果よりも、爆釣の方が嬉しい。
では、どんな場所が「爆釣」するかというと、当たり前だが「周囲に比べて、そこに多くの魚が集中して集まっている場所」である。ここで、上記の魚たちの性質をふまえると、以下の結論が導かれる。
「周囲に比べて、そこに多くの魚が集中して集まっている場所」
=「周囲に比べて、より強い流れが集中している場所」
ここで私自身は「流れ」を考える場合、以下の5点を考えるようにしている。
①潮汐→潮汐流
②風→吹送流
③波・うねり→離岸流、沿岸流
④川・排水溝→河口流
⑤段差→段差流
他にも、下層の低温の水が、温かい表層に上昇する時に発生する「湧昇流」というものがあり、ダイバー達は「アップウェリング」と呼んでいる。
岸から沖に向かって、強い風(Offshore Wind)が吹くと「吹送流」によって、岸の海水が沖に押し流されるのだが、その押し流されて減った分の沿岸部の海水を補充するために、沖の海底の水が岸に向かって上昇してくる流れが「湧昇流」だ(※「湧昇流」が存在すること自体は間違いないのだが「湧昇流」の発生メカニズムについては異説もある)。
「湧昇流」が発生すると水温は急激に下がるが、海底からの上昇流が海底の栄養塩類を巻き上げるので、小魚やプランクトンが集まり、好漁場になる事が多いが、研究者でもない釣り師レベルの個人が、その流れを予測したり、釣り場でその存在を確認するのは至難の業であるため、私自身は「湧昇流」については、ほとんど気にしないようにしている。
①の「潮汐」に起因する流れは「潮汐流」と呼ばれ「海や汽水域で釣りをする人間であれば誰でも気にしているだろう。ただ、入り組んだ内湾部では「転流(流れの向きが逆に変わること)」のタイミングには要注意だ。
海の ” 大きな流れ ” は「上げ潮→下げ潮」or「下げ潮→上げ潮」に変わっても、流れの方向はすぐには変わらない。船と同様、海の水も、すぐには止まれないし、すぐに方向は変えられないのだ。
つまり、タイドグラフを見て「そろそろ上げ潮が動き出す時間だな」と推測しても、実際に潮が動き出したのは30分後みたいな事はしょっちゅうある・・・というより、少なくとも関東地方ではそういう事の方が多い。因みに瀬戸内海では、多くの島々があり、地形に影響されるので、転流は満潮後及び干潮後から約1時間位遅くなる事が多いので要注意だ。
(※出典:日本財団HP)
②の「風」については「吹送流」と呼ばれる流れがある(「エクマン輸送流」とも言う)。これは、風と水面の摩擦によって生じる流れなので、基本的には風の向きに流れる流れだが、強風の時でもない限りは、それほど強い流れにはならない。
但し、ポイントによっては「西風の時はよく釣れる」とか「南西風ビュービューの時に爆釣する」・・・みたいなポイントもあるので、ある程度強い風が吹いている時は、考慮に値する因子となる。
③の「離岸流」は、岸と垂直に、沖に払い出す流れで、気にしている方も多いだろう。何にも無い、だだっ広いサーフなんかで釣りをする場合は、これがある場所を狙うのがセオリーだ。「沿岸流」は、離岸流と離岸流の間に発生する、岸と平行な流れだ。
「離岸流」は、波やうねりが岸に押し寄せてくる時に、押し寄せた海水が沖に戻ってゆく流れなのだが、 波やうねりが岸に対して垂直ではなく、角度をもって波が押し寄せてくる時、岸に沿って平行な 方向な流れが生じる。それが「沿岸流」だ。
「離岸流」も「沿岸流」も、押し寄せてくる波が大きいほど大きくなり、特に「沿岸流」は、波の岸に対する角度が大きいほど(波が岸に対して斜めに寄せてきている時ほど)、岸から遠い場所で発生する。
「離岸流」「沿岸流」については、下記の記事で詳しく解説しているので、そちらをご覧頂ければと思う。
④の「河口流」は、今更解説する必要は無いだろう。「海がダメなら、川に行け」の格言?があるように、ド干潮やド満潮の潮止まり時間帯だけでなく、小潮・若潮等の潮汐流が弱い日なんかの逃げ場としては定番ポイントだ。
ちなみに、私は以前、千葉県内房エリアの「養老川河口」で、遥か彼方沖まで流された遭難事故を起こした事があるのだが、その時の話は下記の記事に詳しく書いてあるので、こちらも是非ご覧頂ければと思う。
そして⑤の「段差流」。これが、今回のテーマであり、多くの釣り師が見落としている盲点ともいえる「流れ」だ。私自身は、過去に釣り雑誌やネットで、これについて言及している記事を見たことが無いので、普段から気にしている方は少ないのでは無かろうか。
しかし、①~④の比較的定石的な「流れ」を考慮してポイント選びをしても、結構な確率でボウズを食らう。皆さんも「潮が動かない時間帯だから、河口・排水溝に行こう」と思って行ってみてボウズを食らうなんてことは星の数ほどあるだろう。
私自身は、大潮の潮が動く時間帯にボウズを食らうなんてこともしょっちゅうだし、離岸流のある場所で独り寂しくボウズを食らったなんてことも数多い。
しかし、私個人の過去の経験では、⑤の「段差流」系のポイントは、そのエリアがシーバスのシーズン内の時期である限り、ボウズを食らう確率は、他の①~④のポイントに比べ圧倒的に低く、逆に爆釣確率は格段に高い。
今回の取材では、下に掲載した動画(SNSでの告知用動画)で示したとおり「ド干潮潮止まり」の時間帯でヒットを連発しているのだが、このポイントはまさに「ド干潮段差流ポイント」だった。これはあくまで一例に過ぎず、本当にそういうポイントは数多く存在するのである。無修正フル動画は下に掲載してあるので、是非そちらもご覧頂ければと思う。
「ド干潮段差流ポイント」が多く存在するポイントは、以下の3エリアだ。