先日、ゴルゴさんはハンドメイドルアーは作らないのかという質問を受けた。実はハンドメイドルアーを作ったことはあるにはある。
旋盤や各種コーティング剤、塗料、各種木材、機材を山ほど買い込んで、かなり本格的な用意をした。しかし、今はまったく作らない。自分の腕の悪さに懲りたので・・・。
昔はよく作った。はじめて作ったのはリップレスのフローティングミノー。リップなど面倒なものはつけなくてもいいから簡単に出来るだろうとの安易な発想だった。しかし、実際作ってみると、全く泳がなかった。まさに只の棒。多くの無駄な金と時間を費やし、リップがあるモノのほうが多少アバウトに作ってもある程度泳いでくれることが多いことを学んだ。ちなみに、細いシェイプのものほど泳がすのが大変だ。まぁ、細い方が水の抵抗が少なくなるので、言われてみれば当たり前な気もするが、作ってみてはじめて気づくこともある。
とまぁ、下手は下手なりに、自分で作ってみるとルアー製作の難しさが、いろいろよくわかる。この程度の経験でも、細いリップレスミノーやシンキングペンシルで、スローリトリーブでもよく泳ぐルアーを発売するメーカーは、腕の良い開発担当が、ちゃんとテストを重ねて作っているメーカーだということが分かる。
この手のルアーには「スローでもよく泳ぎ・・・」などと、パッケージや広告に書いてあるものも多いが、私の下手くそな腕では、スローではほとんど泳がないものも実際は結構多い。
ついでに書いてしまうと、シンキングペンシルのパッケージに「スローでも表層を攻めやすく」と書いてあったら要注意。それを真に受けて、ほんとにスローで引いたら、普通にスーっと沈んで、一発で根掛かりなんてこともしょっちゆうだ。
いや ” 多い ” というより「スローでも表層を攻めやすく/沈みにくく」とか「スローでもよく泳ぎ」なんて書いてあるもので、本当にその通りと思えるものの方がむしろ少ない。
そんなメーカーは、ロクにテストをせずに、売れ筋ブランドをいい加減にパクって作ったと思われても仕方がない。たった1個で千円以上も取るのなら、もっとちゃんと作って欲しいものだ。また、そんなルアーをメディアで推奨するライターが居たら、皆さんも名前をよく覚えておいた方がいい。それも自己防衛の知恵だ。
と、怒りに任せて、話が横道にそれてしまったが、私が自作したリップレスものは、結局全部失敗だった。当時は、湾奥の運河や小河川用にタックルハウスのリップレスミノーの7センチ版とか9センチ版を作ろうとがんばったのだが、実際に泳がせて見ると、泳ぎが悪いどころか、水中でひっくり反ってしまう始末。
で、次にパクろうと思ったのが天下のラパラ。当時は、ラパラの使用量が異常に多く、それに比例してロスト数もおおかったので、経済的な事情から、なんとか安くラパラを量産できないかともくろんだわけだ。しかも、ラパラは見るからにパクリやすそうな単純な形だ。しかし、世の中そんなに甘くない。
ひっくり返るまではいかなくても、斜めになったまま傾いて泳いでしまうとか、スローで全く泳がないとか、なんだかんだ問題が生じ、結局こちらもまともなモノは1個も出来なかった。
友人の中には、かなりのレベルのモノを作る者もいたが、私には出来なかった。手先はそれほど不器用ではないと思っているのだが、何かが足りなかったようだ。
それ以来、私は作るよりも使うほうが得意だと思うようになり、ハンドメイドルアーの製作用具は押入れの奥に移動させられたのだった。まぁ、先程使うほうが得意だと書いたが、思い返してみると、友人たちに比べてそれほど使うのが得意と言える程の腕でもない気もする。
なんだか、悔しくなってきたので、今日はこのくらいにしておこう。
何だかんだ書いたが、皆さん、新しいルアーを買う際はお気をつけあれ。ルアー製作は、簡単なモノではない。それはメーカーでも同じ。お店には、いいルアーがいっぱいあると思うのは幻想だ。
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