釣りの神になる為の3要素 ~「経験・知識」が多くてもダメ~

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■「経験・知識」が多くてもダメ

闇雲に知識ばかり増やすことは「迷う理由」を増やすだけである。ポイントを数多く知っている人間ほど、釣りに行く場所を決めるのに悩む。

私が、スズキをルアーではじめて釣ったのは、東京の新木場エリアにある「若洲運河」だったが、それ以来季節を問わずほぼ毎日のように、そこに通っていた。誇張抜きで、本当にほぼ毎日通っていた。

当時は車を持っていなかったため、最寄り駅の地下鉄の有楽町線の終電までの釣りではあったが、今思うとよく毎日通ったものだ。何故、そんなに1箇所に通いつめていたのかというと「他にポイントを知らなかったから」。「釣りに行く」=「若洲運河に行く」だったので、釣りに行く場所に悩んだことなど無かった。

しかし、いろいろなポイントを開拓して、ポイントに関する知識が増すにつれ、釣りに行く場所を決めるのに、ものすごく悩むようになってきた。雑誌の取材当日になっても行き先が決められない事など日常茶飯事。むしろ、決まっていないのが当たり前だった。

仮に、あなたが愛読している釣り雑誌から、スズキの爆釣戦略を100個書き出し、更にポイントマップから実績ポイントを100個抜き出して暗記したとしよう。この時点であなたの知識は200個増えた事になる。しかし、それだけでは全くもって実用的ではない。

数年前、人間の全DNAが解読されたというニュースが世界を駆け巡った。しかし、未だ癌やエイズの特効薬は見つかっていない。何故か?研究者がサボっているからか?いや、そうではない。

全DNAが解読されたというのは、細かい話を抜きにすると「DNAのパーツが全て分かった」という事だ。プラモデルのパーツだけを全部入手して一列にならべても、どのパーツがどんな組み合わせの時にどんな働きをするかは分からない。

ましてや、それらのパーツを組み合わせたときに「何が出来上がるのか/どんな働きをするのか」は、パーツを並べただけではよく分からないだろう。仮に間違ったパーツが混ざっていても、見抜くのは至難の業だ。

どんなパーツがあるかを知ることは重要だが、実際に使うためには、それらのパーツを「どう組み合わせたらいいか」まで知る必要があるのだ。癌やエイズの特効薬開発もそれと同じである。

(※画像出典: Molecular Modeling and Spectroscopic Analysis

つまり、実際の釣り場で魚を手にするには、過去の知識をどう組み合わせたらいいかを知る必要があるのだ。

単純に計算しても「100個の戦略」と「100個の実績ポイント」では、組み合わせの数は100×100=1万もある。初心者の方の知識なら「10個の戦略」と「2個の実績ポイント」位か。それなら組み合わせの数は20程度だが、その「10個の戦略」の内いくつかを組み合せて使う事も多いので、考えるべき組み合わせの数は膨大。それら一つ一つを試していたら、気の遠くなる様な時間が必要だ。

多くの知識を持つことは重要ではあるが、知識は多くなるほど「どう使うか(何を選ぶか/どう組み合わせるか)」が難しくなる。

知識や経験というものは、全て過去の資産だ。私たち釣り師が欲しいのは、未来の予測である。過去の知識をどう組み合わせ、どの組み合わせを選ぶかにより、未来の予測精度は大きく変化する。そういう意味では、未来の予測能力とは、知識・経験の選別・組合せ能力であり、別の言い方をすると「編集能力」ともいえる。

この「過去の知識/経験を、当日の状況に合わせて編集する能力」は「現場の釣り」でとても重要なスキルだ。中には「その日のパターンがすぐに見つけられて、仲間よりもいい釣果が得られた日が確かにあった」という方も居るだろうが、それはあなたの「編集能力」によるものではなく、単なる「偶然」かもしれない。


■自己関与の幻想

ここで、株式投資の世界には「自己関与の幻想(イリュージョン・オブ・コントロール)」という言葉がある。

何らかの意思決定に関して、その結果が「偶然」のものでも「自分が関与することによってより良い結果が導かれた」と思う傾向が人間にはある。人は「それが例え偶然であっても、魚が釣れた時は、自分の考えが正しかったから」と思う傾向があるのだ。

まぁ、釣りの世界では、理由はなんであれ釣れた人間が一番偉い。釣れなかった人間は、釣れた人間のウザいうんちく話を黙って聞く義務があるので、あまりうるさい事を言うと友達を失うことになるが「偶然か、そうでないか」は、口には出さなくとも、真実を追究するためには、心の中ではしっかり区別しておくべきだろう。

ここで、陸っぱりのスズキ釣りに関しては、特殊なケースを除き、ほとんどの場合は4、5匹もゲットできれば「爆釣」という気分になるだろう。この「爆釣という気分」、即ち「めったに無いことを達成したという充実感」が「自己関与の幻想」を強化する。まあ、4、5匹も釣れる場合はいい。サーフや磯、ゴロタ、河川等の実際の現場では、たまに来た1本が取れるかどうかが勝負というケースもかなり多い。

サーフの穴場発見の極意

更に「ベイトも見えない。どこをスズキが通るかもよく判らない」そんな状況も実際は多いと思うが、そんなときは正に「偶然との戦い」でもあり、釣果の大部分は「偶然」に左右される。しかし、広大なサーフのように、1本獲れれば大成功みたいな場所では、たった1本の釣果から釣り人は「自分の予想の正しさ/万のうんちく」を語りだす。私などは「万」では済まない。「朝まで生うんちく」状態だろう。一番やっかいなタイプだ。

とはいえ「偶然、偶然といわれても参考にはならない」と思う方も居るだろう。「偶然」には「再現性」が無いと思っている方もいるかもしれない。しかし、必ずしもそれは正しくは無い。

「偶然」の出来事は「100%の再現性」は期待できないが「ある程度の再現性」は期待できる。その再現性を数字で表したものを「確率」と呼ぶ。

「釣りの大部分は偶然」

そのような前提に立った時に見えてくる事もある。過去、釣り関連のメディアで、この「偶然」について本気で取り組んだ記事・番組は見たことが無い。釣りには多くの定石・メソッドが存在するが、それらの定石・メソッド通りに釣りをして、貴方のボウズ率はどの程度下がっただろう?何年も釣り雑誌を熟読し続けてきた貴方、爆釣頻度はどの程度高まっただろうか?

私自身は、この「偶然との戦い」こそが「釣りの最大の課題」と言っても過言ではないと思っている。もし、あなたが「偶然との戦い」に興味があるなら、下記の記事を是非ご一読頂ければと思う。間違いなく、今までどこにも語られていない内容だ。

「膨大な知識/経験」「強力な編集能力」「偶然への対処能力」この3つこそが「現場力」の構成要素であり、これら全てが完璧に揃った時、貴方は釣りの神になるだろう。

「偶然との戦い ~あの子のパンツは?~」


 

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